観音寺本馬遺跡

観音寺本馬遺跡

観音寺本馬遺跡（かんのんじほんまいせき）は、奈良県橿原市観音寺町から御所市本馬に位置する、縄文時代から中世にかけての複合遺跡です。この遺跡は、京奈和自動車道大和御所道路（御所区間）の建設に伴う発掘調査によって、2007年（平成19年）から2009年（平成21年）にかけて発見されました。

概要

この遺跡は、縄文時代の資料が豊富に出土することで知られており、その規模は奈良県下でも最大級です。特に、縄文時代晩期中葉の篠原式期（約2800年前）の集落跡が主要なものとして挙げられます。集落跡のほかにも、甕棺墓による墓域、人為的に形成されたと推測されるクリ林、そして漁のために川の流れに沿って設けられたと思われる木製杭列などが発見されています。

注目すべき点として、縄文時代の平地建物跡が発見されたことが挙げられます。これは非常に珍しい例であり、兵庫県淡路市の佃遺跡に次いで、国内で2例目となります。平地に建物を建てて生活していた様子を知る上で貴重な発見と言えるでしょう。

また、完形の土偶や大量の石棒類といった呪術的な意味合いを持つ道具が、複数の土器溜まりから見つかっています。これらの出土品は、当時の人々の精神文化や信仰を知る上で重要な手がかりとなります。さらに、動物の骨などの遺存体も検出されており、当時の自然環境や人々の食生活を知る上で役立つと考えられます。

これらの発見から、観音寺本馬遺跡は、縄文時代の人々の生活、文化、精神性など、多岐にわたる側面を理解するための重要な場所であることがわかります。出土品や遺構は、当時の社会構造や自然との関わり方を考察する上で、貴重な情報源となるでしょう。

発見された主な遺構・遺物

縄文時代晩期中葉の集落跡
甕棺墓
人為的に形成されたクリ林
漁撈用と思われる木製杭列
平地建物跡
土偶
石棒類
動物遺存体

参考文献

『観音寺本馬遺跡 橿原市埋蔵文化財調査報告 第1冊』橿原市教育委員会、2012年3月。
『観音寺本馬遺跡 御所市文化財調査報告書 第48集』御所市教育委員会、2015年12月。
『観音寺本馬遺跡Ⅰ 奈良県立橿原考古学研究所調査報告113冊』奈良県立橿原考古学研究所、2013年3月。
『観音寺本馬遺跡Ⅱ 奈良県立橿原考古学研究所調査報告114冊』奈良県立橿原考古学研究所、2014年3月。
『観音寺本馬遺跡Ⅲ 奈良県立橿原考古学研究所調査報告121冊』奈良県立橿原考古学研究所、2017年3月。

外部リンク

観音寺本馬遺跡 - かしはら探訪ナビ

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