角一晃

元プロ野球選手である角一晃（すみ いっこう）氏は、1987年10月20日に東京都で誕生しました。右投げ右打ちの捕手として知られる彼は、かつて読売ジャイアンツなどで活躍した名投手、角盈男氏の息子であり、弟の晃多氏もプロ野球選手（元ロッテ）であったという、野球界に深く根差した家系に育ちました。

幼少期から野球に親しみ、小学校1年生で地元のチーム「藤ケ丘ファイヤーズ」で本格的に競技を始めます。中学は東海大学付属相模中学校に進学し、硬式野球チームの緑シニアに所属。中学3年生時にはその才能が認められ、全日本選抜メンバーに選出されるほどの逸材へと成長しました。

野球の名門として名高い東海大相模高校に進むと、入学間もなく内野手としてレギュラーの座を獲得します。特筆すべきは、1年生でありながら並み居る上級生の中でチームの4番打者を任されたことであり、これは後にプロ野球監督として実績を残した原辰徳氏以来となる快挙でした。高校野球最大の舞台である甲子園には、3年生時に主将としてチームを率い、春の選抜高等学校野球大会に出場。高校通算で30本塁打を記録するなど、強打の捕手としての能力を存分に示しました。

高校卒業後は白鷗大学へ進学しますが、更なる野球への挑戦を求めて中途退学の道を選びます。そして2007年、周囲も驚く単身ドミニカ共和国への渡航を決断し、現地のサマーリーグに参加。異国の地での懸命なプレーが、メジャーリーグ球団であるロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムのスカウト陣の目に留まり、契約を勝ち取ることに成功しました。父・盈男氏が、この入団に際して「末端からいつかはメジャーにはい上がって、いずれ巨人に縁があれば」と語ったように、メジャーリーグ昇格という大きな目標を掲げ、アメリカのマイナーリーグでのキャリアをスタートさせます。残念ながらメジャーのマウンドに立つことは叶いませんでしたが、2009年にはチーム傘下の最上位クラスであるトリプルAまで昇格し、その実力を証明しました。

アメリカでの挑戦を終えた後、2011年からは日本の独立リーグに活躍の場を求めます。同年6月22日、四国アイランドリーグplusに所属する香川オリーブガイナーズへの入団が内定し、7月1日に正式契約を結びました。この独立リーグでの登録名は「一晃」でした。しかし、香川では打撃面で苦戦し、20試合に出場して打率.176、本塁打1本という成績にとどまりました。シーズン終了後の同年10月20日には、契約期間満了に伴う退団が発表され、短期間での所属となりました。

独立リーグ退団後、2012年10月をもって現役選手としてのキャリアに終止符を打ちました。引退後は、同年同月から福島県内の住宅建設会社に勤務するなど、野球とは異なる新たな分野での道を歩み始めます。また、近年では自身が代表取締役を務めていた株式会社T.O.I工務店が、2023年6月15日にさいたま地方裁判所から破産手続き開始決定を受けたことも報じられており、現役引退後も様々な経験を積んでいることがうかがえます。

プロ野球選手としての道を切り開き、国内外で挑戦を続けた角一晃氏の経歴は、多くの人々に記憶されています。

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