触媒学会

一般社団法人触媒学会

一般社団法人触媒学会（英語名称：Catalysis Society of Japan）は、触媒に関する学術研究と技術の発展・普及を目的として活動する権威ある学術団体です。触媒は、化学産業をはじめとする様々な分野において不可欠な役割を果たしており、その基礎から応用に関する研究は日々進化しています。本学会は、この触媒分野における学術・技術の進歩を牽引し、研究者間の情報交換や相互啓発を促進することを使命としています。

学会の事務局は、日本の化学分野の中心地の一つである東京都千代田区神田駿河台に位置する化学会館内に置かれています。

沿革

触媒学会の歴史は、戦後日本の科学技術振興の気運が高まる中で始まりました。その起源は、触媒に関する研究者が集まり意見交換を行う場として、1958年に設立された「触媒懇談会」に遡ります。研究活動の活発化に伴い組織の拡充が図られ、1964年には正式に「触媒学会」として新たなスタートを切りました。その後、社会的な要請や組織運営の効率化に対応するため、2011年には「一般社団法人触媒学会」へと法人格を取得し、今日に至る体制が確立されました。設立から60年の節目を迎えた2018年には、これまでの歩みを振り返り、今後の発展を展望する創立60周年記念式典が盛大に開催され、多くの関係者が集いました。

事業

触媒学会は、定款に定められた目的に沿って、多岐にわたる事業を展開しています。その中でも特に重要な活動として、以下の二つが挙げられます。

1. 触媒討論会の開催: 年に二度、春と秋に主要な学術集会である触媒討論会を開催しています。この討論会は、国内外から多数の研究者・技術者が参加し、最新の研究成果を発表・共有する場として、日本の触媒研究において最も重要な学術イベントの一つとなっています。活発な質疑応答や意見交換を通じて、参加者は新たな知見を得るとともに、研究ネットワークを広げています。
2. 機関誌「触媒」の発行: 年に六回、機関誌である『触媒』を定期的に発行しています。この機関誌には、最先端の研究論文（原著論文、速報）、総説、解説、研究室紹介、会議報告など、触媒分野に関する幅広い情報が掲載されています。学会員は本誌を通じて最新の研究動向を把握し、自身の研究活動に役立てています。また、触媒に関する知識の普及啓発にも貢献しています。

これらの事業に加え、研究奨励、各種セミナーや講習会の開催、国際会議への協力なども積極的に行い、触媒分野の学術・技術水準の向上に貢献しています。

組織

一般社団法人触媒学会は、会員である「社員」によって構成されており、その総意を反映する社員総会が最高意思決定機関として位置づけられています。社員総会で決定された方針に基づき、学会の日常的な運営執行は理事会が行います。理事会の下には、企画、編集、研究発表会運営、国際交流など、学会の様々な活動を専門的に担う多数の委員会が設置されており、それぞれの役割を果たしています。

また、全国各地における研究者間の交流や地域に根ざした活動を促進するため、地域支部として北海道支部、東日本支部、そして西日本支部の三支部が設立されています。各支部は、地域ごとの研究発表会や講演会、セミナーなどを開催し、会員間の連携強化や若手研究者の育成に努めています。

関連事項

触媒学会の活動は、触媒そのものの基礎理論から、光触媒などの応用分野、そしてこれらを体系的に扱う触媒化学といった学術領域と密接に関連しています。また、触媒反応の鍵となる触媒材料の構造や性質に関わる錯体化学とも深い関わりがあります。学術交流という点では、日本の化学分野を広くカバーする日本化学会とも連携し、学術全体の発展に貢献しています。

一般社団法人触媒学会は、これらの組織体制と事業活動を通じて、触媒科学および技術の発展に寄与し、社会に貢献することを目指しています。

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