試製十五糎多連装噴進砲

試製十五糎多連装噴進砲

試製十五糎多連装噴進砲（しせいじゅうごせんちたれんそうふんしんほう）は、第二次世界大戦中に日本陸軍によって開発された多連装ロケット砲である。この砲は1944年（昭和19年）に陸軍技術本部の手によって試作が進められ、1門が完成した。日本陸軍にとって、この砲は新たな火力支援の形式と位置づけられていた。

このロケット砲の特徴は全金属製の砲架にあり、射撃試験は自動貨車の上で行われた。試験の際、発射されたロケット砲弾は弾道が広がり、命中精度が低下することが明らかとなった。この問題については砲身の長さや砲口の改修が検討されたものの、終戦までには実現しなかった。

試製十五糎多連装噴進砲の外形は、金属製の長方形の枠を持つ架台が基盤となっている。架台の後部には旋回式の大きな砲架が設置され、20連装の砲身が搭載されている。この20連装は5門の砲身が並行に配置され、さらに4段に積まれているため、多連装としての特性を代弁している。各砲身は、砲口、砲尾、中央部のプレートで組み合わせられ、統一感を持たせている。

砲架の操作は、左側に配置された方向照準機やハンドル、照準座を用いて行う。右側には高低照準機やハンドル、射角板が装備されており、精密な射撃が可能とされていた。

発射時には、遠隔操作によって電気点火が行われ、ロケット砲弾が射出される。砲弾には十五糎噴進榴弾が使われており、弾底には8個のガス噴射口が設けられている。これらの噴射口は25度の傾角を持ち、燃焼ガスを効果的に噴射することで砲弾の安定した飛行を実現させている。発射速度は最大で毎分3000回転に達し、弾道は安定性を保ちやすくなっている。

試製十五糎多連装噴進砲の技術的諸元は以下の通りである。

• - 重量: 30.4kg
• - 炸薬重量: 5.2kg
• - 推薬重量: 4.4kg（燃焼秒時0.7秒）
• - 最大速度: 190m/s
• - 最大射程: 4,200m

終戦時には、大阪造兵廠で試製連装十五糎噴進砲の半完成品が存在していたが、この系譜の開発は途絶えてしまった。試製十五糎多連装噴進砲は日本の軍事技術史の一部として記憶にとどまっている。

参考文献

• - 佐山二郎『日本陸軍の火砲 迫撃砲 噴進砲 他』光人社（光人社NF文庫）2011年。ISBN 978-4-7698-2676-7

関連項目

• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

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