詩とメルヘン

『詩とメルヘン』の歴史と特色

『詩とメルヘン』は、1973年5月に創刊され、2003年8月までの間に通算385号を発行した日本の文芸雑誌です。この雑誌はサンリオによって発行され、著名な絵本作家であるやなせたかしが編集長を務めました。

創刊の背景と編集方針

元々、この雑誌のアイディアは、やなせたかしが自身の詩集『愛する歌』の成功を受けて、自らの雑誌を持ちたいと考えたことから生まれました。彼は当時の社長である辻信太郎にその夢を伝え、快く承諾を得た結果、創刊に至りました。最初は季刊誌としてスタートし、後に隔月刊、さらに月刊に移行しました。

読者参加型の雑誌

『詩とメルヘン』の特徴的な点は、一般読者からの投稿を積極的に受け入れ、プロのイラストレーターがその作品にイラストを添えるというスタイルです。この方法により、読者層は幅広く、10歳から90歳近くまでの多様な読者を対象とし、多くの人々に親しまれる雑誌となりました。

賞の創設と受賞者

1976年には「詩とメルヘン賞」が創設され、その後1981年からはイラストコンクールも開催されました。これにより、多くの新しい才能が発掘され、雑誌の発展にも寄与しました。詩とメルヘン賞は、創設当初から1993年度まで続き、その後は奨励賞や特別賞の形で続けられました。

受賞者には、きのゆりや東君平をはじめ、さまざまな著名な作家やアーティストが名を連ねています。サンリオ美術賞も1975年から続き、多くのイラストレーターに賞が授与されました。

休刊とその後

2003年に休刊した『詩とメルヘン』ですが、その精神を引き継ぐ形で、後継誌として『詩とファンタジー』が2007年に創刊されました。また、高知県香美市には、やなせたかし記念館内に「詩とメルヘン絵本館」が設けられ、多くの原画が展示されています。これにより、かつての雑誌の成果や影響が保存されると共に、新たな世代のクリエイターたちにインスピレーションを与えています。

子供向けの『いちごえほん』

更に、『詩とメルヘン』のジュニア版として1975年に創刊された『月刊いちごえほん』も注目すべき存在です。この雑誌は子供を主要な読者層に設定し、1982年に短期間で休刊しましたが、子供たちに詩と絵の楽しさを伝える役割を果たしました。

結論

『詩とメルヘン』は、単なる文芸誌を超え、多くの人々に創作の喜びや表現の楽しさを引き出す場として機能していました。その多様な賞の設立や読者参加型の編集方針は、今でも多くのクリエイターにとっての刺激となり、多くの人々に愛され続けています。

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