詩仙堂

詩仙堂（しせんどう）

詩仙堂は、京都市左京区に位置する京都の曹洞宗に属する寺院で、山号は六六山と呼ばれています。この寺院の本尊は馬郎婦観音（めろうふかんのん）で、現在は丈山寺という名称で知られています。江戸時代初期の文人、石川丈山の山荘跡であり、国の史跡として登録されています。

歴史

詩仙堂は、寛永18年（1641年）に徳川将軍家の家臣であった石川丈山によって築かれました。丈山は59歳のとき、隠居のためにこの山荘を設け、寛文12年（1672年）に90歳で亡くなるまでの間、詩歌と共に静かな生活を楽しみました。この場所は後に寺院として整えられ、丈山ゆかりの場所であることから「丈山寺」という名が与えられました。

詩仙堂の中心となる建物は「凹凸窠（おうとつか）」と呼ばれ、でこぼこの地形に合わせて建てられています。山の斜面に沿って配置された庭園や建物は、丈山が設計し、その中には10個の要素が組み込まれており、これを「凹凸窠十境」と名付けました。現在、詩仙堂は「詩仙の間」に掲げられた36人の大陸の詩家の肖像画から名付けられています。これらの肖像画は狩野探幽によって描かれ、詩仙の間の四方の壁に美しく掲げられています。

丈山は庭園造りにも秀でており、設計した「百花塢（ひゃっかのう）」は、四季折々の美しさが楽しめることで知られています。特に春に咲くサツキや秋の紅葉は観光客に人気で、賑わいを見せます。また、縁側に広がる白い山茶花も注目のスポットです。さらに、添水（そうず）という仕掛けによって鹿や猪の進入を防ぎつつ、静かな庭の中で響く音が、自然のアクセントとなることも丈山の好みに合致します。

境内

• - 凹凸窠（おうとつか）: 詩仙堂と呼ばれる本堂で、寛永18年（1641年）に建築されました。本堂内には狩野探幽による36詩仙の肖像画が掲げられています。建物は、玄関上に三階建の「嘯月楼」を持ち、右手には瓦敷の仏間や座敷が広がり、左手には詩仙の間や読書の間など、多くの部屋が存在します。この中で嘯月楼と詩仙の間は丈山の手による物であり、他の部分は後世の改築によるものです。
• - 躍淵軒（やくえんけん）
• - 膏肓泉（こうこうせん）
• - 庭園「百花塢（ひゃっかのう）」: 丈山の作庭による、美しい景観が楽しめる場所です。
• - 僧都（添水、そうず）: 通常はししおどしとして知られ、丈山が考案したとも言われています。
• - 残月軒、十方明峰閣（坐禅堂）、中門「老梅関」、山門「小有洞（しょうゆうどう）」 など、多彩な施設があります。

文化財

詩仙堂は国指定の史跡として、今も多くの人々に愛されています。歴史や美が融合するこの場所で過ごす時間は、訪れる者にとって特別な体験となるでしょう。

交通アクセス

車でのアクセスも便利で、周辺には有料駐車場やコインパーキングも多数存在します。公共交通機関を利用する場合、京都市営バス5系統や北8系統、京都バス18系統、56系統の「一乗寺下り松町」バス停から約300mの距離です。また、叡山電鉄の一乗寺駅からも約600mとアクセスが良好です。

詩仙堂は、歴史的価値があり、美しい自然と共に静かに時を過ごすことのできる貴重な場所なのです。

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