認知件数

認知件数についての詳細

認知件数とは、警察などの捜査機関が犯罪の発生を把握した件数のことを指します。この数は、実際に発生した犯罪件数（発生件数）とは異なり、認識されていない事件が数多くあることから、真の犯罪状況を表すものではありません。公的に認知される犯罪の数として、認知件数はしばしば発生件数とも言われますが、全ての犯罪が報告されるわけではありません。

認知件数の歴史と算出基準

日本における犯罪の統計は、昭和40年までは「発生件数」という用語が使用されていましたが、昭和41年から「認知件数」に名称が変更されています。この変更には、犯罪の発生を完全に把握することは不可能であるという認識が背景にあります。これにより、発生件数という用語が誤解を生む可能性があるとの考えから、より明確に認知の段階を示すために名称が変更されたのです。

認知件数は、市民や被害者からの犯罪発生の届出に基づいています。具体的には、交通違反のような一斉取り締まりを除き、被害者や目撃者が事件を警察に報告し、その事件が犯罪であると警察が判断した場合にのみ認められます。つまり、被害者が事件を届け出なければ、犯罪は認知されず、また警察の判断で事件が犯罪として認定されない限り、認知件数としてカウントされません。

例えば、2001年に大阪府の刑法犯認知件数が前年比で7万5千件増加しましたが、これは警察の統計が以前の捜査体制に基づいており、変化があったことを示します。この年、大阪府警は「犯罪として問えるものはすべて受理する」という方針に転換したため、認知件数が大きく増えたと報じられています。この変化は、警察行政の透明化を目指した改革に起因しています。実際、同じ年の富山県では認知件数が47%増加しました。

認知件数と社会的影響

認知件数は、市民がどれだけ犯罪を通報するか、また警察の方針によって大きく変動します。過去には、警察が認知件数を操作し、犯罪発生を見えにくくすることもありました。

民間の信頼や事件の重要性が影響を及ぼす中で、例えば桶川ストーカー殺人事件の際には、警察が犯罪抑止活動を徹底するよう通達を出した結果、認知件数が急増しました。これに伴い、全国の検挙率は低下しました。

また、神奈川県警の例では、認知件数が目標を超過した場合、当直者に追加の業務が課せられることがあり、これが原因で被害を受理しない行動が指摘されています。このような事例は、警察内部でのプレッシャーや方針が認知件数に影響を及ぼすことを示しています。

結論

認知件数は、犯罪に関する重要な指標でありながら、その質と正確さは多くの要因に影響されます。市民からの通報、警察の方針、自らの判断が結集され、最終的な数値が形成されるのです。このため、認知件数を単純に捉えるのではなく、その背景や影響を考慮することが求められています。

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