誘われて二人旅

誘われて二人旅

『誘われて二人旅』は、1985年10月から1992年9月までテレビ朝日で放送された旅番組で、毎週月曜から金曜の9:30から9:54までの帯番組でした。番組は、従来のテレビ旅行番組から一歩踏み込み、出演者の視点を取り入れたユニークなアプローチをしていました。旅の目的や思い出を聞き取った上で出演者の旅先を選定するというスタイルを採っていました。

番組の特徴

これまでの典型的な旅番組では、テレビ局が指定した場所に出演者を送っていましたが、先鋭的なこの番組では視聴者の意見も重視。特に、主な視聴者である主婦層の希望を反映させ、旅人に同行するパートナーを決めることで、より親しみのある内容になっていました。仲良しの女優同士や親子連れ、夫婦、一般の友人などが出演し、様々な関係性の中での旅が描かれました。

番組内容

『誘われて二人旅』は、単なる旅行情報を提供するだけでなく、出演者の人生や背景、芸能界での苦労話といった深いテーマにも切り込んでいたため、視聴者はより感情的に旅を楽しむことができました。メインのタイトルやテーマ曲は、作家の水上勉と伊藤敏博によって手がけられ、番組に独特の雰囲気を与えていました。

スタッフと制作の工夫

番組制作はテレビ朝日をはじめ、さまざまな制作会社の協力によって行われ、構成作家たちや多くのディレクターが参加。特にプロデューサーの諸橋史明は、情熱と若手の育成に取り組み、スタッフたちからは「鬼の諸橋」と称されるほどでした。番組は、各シーズンごとに新たなテーマ曲と共にスタートし、視聴者を飽きさせることなく、毎回新鮮な体験を提供し続けました。

収録と制作の裏話

実際の収録スタイルは、リアルタイムの旅を再現するため、月曜日から金曜日の5日間で収録が行われ、スケジュール表は修学旅行の「旅のしおり」風にデザインされ、出演者とスタッフが一体感を持てるよう工夫されていました。台風などの自然災害時には、地元の人々との対話を通じて番組を展開することも。このように、旅のリアル感を大切にした編集がされていました。

印象的なエピソード

印象深いエピソードとして、岐阜県ではロケ終了後に全員で飲みに行き、拍手に合わせて「郡上踊り」を披露したり、秋田県では宿の主人に歓待されて皆で温泉に入ったりと、和気あいあいとした雰囲気が伝わりました。また、山形県からの帰りに音声スタッフが車両に乗り遅れた事件など、現場のアクシデントもそのまま放送することで、リアリティを追求していました。

放送局と関連書籍

放送はローカル枠であったものの、全国の一部系列局でも放送。この番組の成功を受けて、テレビ朝日ではゴールデンタイム枠で「誘われて二人旅」のドラマを制作。さらに、放送終了後には関連書籍も出版され、番組の裏話や訪れたロケ地情報が掲載されています。

最後に

『誘われて二人旅』は、ただの旅行番組にとどまらない、出演者の人間ドラマが絡まり合った特別な存在でした。日本のテレビに新たな旅行のスタイルを提案したこの番組は、多くの視聴者に愛され続けています。

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