読書の時間

「読書の時間」は、桂三枝（現・六代桂文枝）によって創作された落語の演目です。九代目林家正蔵や七代目三遊亭円楽なども演じています。

あらすじ

ある日のこと、父親が司馬遼太郎の歴史小説「竜馬がゆく」を探しているのを見て、妻は驚きます。なぜなら、夫がそのような本を読むとは、今まで考えたこともなかったからです。その日の午後、息子の通う高校では「読書の時間」という授業があり、もしかしたら息子が学校に持っていったのではないか、と妻は言います。それを聞いた途端、父親は急に焦り始め、実は「竜馬がゆく」のカバーをかけているものの、中身はポルノ小説であることを打ち明けます。

一方、学校では読書の時間が始まりました。先生は生徒たちに、持ってきた本を大きな声で読むように指示します。困ったことに、息子はそのポルノ小説を大きな声で読む羽目になってしまいました。しかし、先生は全く内容に気づきません。

以下のような調子で読み進めます。

「大きな声で読め！」
「はい！『あっ！ダメ！外に人が！』と言おうとするのを唇で押えられマヤはリョウヘイの背中に爪を立てた。」

ついに先生は異変に気づき、

「ちょっと待て！ 竜馬じゃないのか？ リョウヘイって誰だ！ 本を見せろ！ 『竜馬がゆく』だよなぁ…。おぉ！ お父さんなんてことを…。これは先生の方から送り返しておくから、君は代わりに『志賀直哉』を読んでおきなさい！」

と、先生はあきれて息子に言いました。

その後、この騒動について母親から聞いた父親は、息子に謝ります。すると、息子は父親に感謝の気持ちとして『壬生義士伝』をプレゼントします。しかし、その中身もまた別のポルノ小説だったのでした。

考察

この落語は、親子の間の隠し事や、ちょっとしたいたずらが引き起こす騒動を面白おかしく描いています。また、読書という行為を通して、世代間のギャップや価値観の違いを浮き彫りにしています。クスっと笑えるユーモアの中に、現代社会に対する風刺も込められている、そんな作品です。

関連項目

* 竜馬がゆく

この演目をより深く理解するためには、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」に触れてみるのも良いでしょう。また、落語という日本の伝統芸能に興味を持つきっかけにもなるかもしれません。

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