調査業務実施者

調査業務実施者とは

調査業務実施者とは、特許庁が登録した調査機関に所属し、特許庁から委託された先行技術調査を行う専門家です。彼らは、独立行政法人工業所有権情報・研修館（INPIT）が実施する「調査業務実施者育成研修」を修了し、試験に合格した者で、高度な専門知識と調査能力を有しています。特許庁の審査官が特許審査を行う上で、先行技術調査は非常に重要な役割を担っており、調査業務実施者はその重要な一翼を担っています。

調査業務実施者の役割

調査業務実施者の主な役割は、特許庁から委託された審査案件について、先行技術調査を行い、その結果を報告書にまとめることです。この先行技術調査は、特許出願された発明が新規性や進歩性を有するかどうかを判断するために不可欠です。また、調査業務実施者は、特許庁の審査官と対話を行い、調査結果について説明することもあります。

調査業務実施者育成研修

調査業務実施者になるためには、INPITが実施する「調査業務実施者育成研修」を受講する必要があります。この研修では、特許法などの法律知識、検索技術、報告書の作成方法などを学びます。研修内容は、以下の通りです。

1. 特許法等に関する講義と筆記試験（テキスト：「特許法概論」「審査基準」）
2. 検索に関する講義と実習、筆記試験（テキスト：「検索の考え方と報告書の作成」「分類の概論」）
3. グループディスカッション
4. 先行技術調査実践演習
5. 対話型審査に関する講義と演習、面接評価
6. 検索報告書の作成、面接評価

これらの研修を修了し、試験に合格すると、研修修了証が授与され、調査業務実施者として登録調査機関で働くことができるようになります。

先行技術調査業務の流れ

先行技術調査業務は、以下の流れで実施されます。

1. 登録調査機関が、特許庁から審査案件を受注します。
2. 登録調査機関は、受注した案件を調査業務実施者に指示します。
3. 調査業務実施者は、先行技術調査を行い、検索報告書を作成します。
4. 作成された報告書は、調査業務指導者によって内容が確認されます。
5. 特許庁の審査官は、調査業務実施者から報告を受け、内容を確認します。
6. 特許庁の審査官は、審査を行い、拒絶理由または登録通知を作成します。
7. 調査結果は公開され、登録調査機関は提出された検索報告書の点数の平均点で評価されます。

登録調査機関

登録調査機関は、特許庁の登録を受けた機関であり、調査業務実施者が所属する場所です。登録調査機関は、特許庁から委託された審査案件を調査業務実施者に指示し、調査業務を管理します。また、調査業務指導者は、調査業務実施者の育成と指導を行います。

業界の現状と課題

近年、特許庁の審査予算の削減や特許審査件数の減少により、登録調査機関間の競争が激化しています。そのため、受注単価が低下傾向にあり、調査業務実施者の収入も減少傾向にあります。厳しい業務環境の中、特許庁審査官からの評価を維持しながら、質の高い調査業務を提供する必要があり、業界全体として課題を抱えています。

関連情報

• - 審査官 (特許庁)
• - 審判官 (特許庁)
• - 日本の特許制度
• - 日本における特許取得手続

外部リンク

• - 特許庁
• - 独立行政法人工業所有権情報・研修館

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