諏訪神社 (中津川市山口)

諏訪神社(すわじんじゃ)



岐阜県中津川市山口に位置する諏訪神社は、信濃国諏訪大社から勧請され創建されたと伝えられる歴史ある神社です。御神体は鏡であり、社紋には梶の葉が用いられています。

祭神



主祭神は建御名方神(たけみなかたのかみ)で、以下の神々が配祀されています。

伊弉諾命(いざなぎのみこと)
伊弉冉命(いざなみのみこと)
木花咲耶姫(このはなさくやひめ)
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
豊受姫命(とようけひめのみこと)
大山祇命(おおやまつみのみこと)
素戔嗚尊(すさのおのみこと)
大己貴命(おおなむちのみこと)
火産霊神(ほむすびのかみ)
猿田彦命(さるたひこのみこと)

歴史



現存する棟札から、慶長16年(1611年)に修復が行われたことが確認されており、それ以前に創建されたことが明らかです。社叢には、目通しが8mにもなる老杉があり、神社の歴史の古さを物語っています。

現在の社殿は、文化4年(1801年)に宮ノ越宿の宮大工、中村傳左衛門善重によって再建されました。総欅造りの本殿は、流れ造りの二面二間で、鷲、鶴、龍、鯉、仙人、高砂の姥など、精巧で華麗な彫刻が施されています。

明治5年(1872年)に旧村社となり、明治41年(1908年)には旧村社の猿投神社を合祀しました。明治42年(1909年)の神社統合により、伊弉諾命、伊弉冉命、木花咲耶姫など多くの神々が合祀されました。

戦前までは神饌幣帛料供進神社として祭祀が行われていましたが、昭和21年(1946年)の神道指令により、宗教法人として運営されています。

かつては、推定樹齢400年の大杉がありましたが、昭和40年(1965年)に国道19号線の拡幅工事のため伐採されました。

この地は元々長野県木曽郡山口村でしたが、平成17年(2005年)に岐阜県へ越県合併し、現在は岐阜県中津川市山口となっています。

本殿は、平成5年(1993年)に山口村の有形文化財に指定され、現在は中津川市の有形文化財となっています。

祭礼



例祭は7月26日と27日に行われ、27日の本祭では花馬祭り(山車)が催されます。7月20日には、当番の集落が花馬に飾る花作りを行います。花はキクススキを模り、各家に行き渡るように作られます。花は祭りの後、畑の虫除けとして用いられます。

祭りの二日間は、小学校4~5年生の女子が舞を奉納します。この舞は、馬籠荒町の宮口茂穂神官から伝授されたもので、奏楽と共に継承されています。

戦前は、祭りの行事はその年の徴兵検査にあたる若者が執り行っていましたが、現在は神官が中心となり、花馬の後を子供たちが従います。かつては拝殿の周囲を回る儀式や、国道を花馬が走る放馬の神事も行われていましたが、交通量の増加により中止されました。

本祭では獅子舞も奉納され、乳児を獅子に噛んでもらうと健康に育つと言われています。また、花馬の花は虫除けになるとされ、参拝者による花の奪い合いは祭りの見どころの一つです。

虫送り



かつては、祭りの翌日に虫送りが行われていました。家や土蔵を清めた後、虫を捕らえ米粒と共に紙に包み、竹の枝に結び付け、色短冊で飾り付けます。これを神社で祓い清め、子供達が木曽川へ流していましたが、ダム建設による川の変化と公害問題により、昭和32年(1957年)を最後に中止されました。

境内



境内には、神楽殿、拝殿、粟島神社が鎮座しています。

社叢



諏訪神社の社叢は、内陸寒冷地にありながら、アラカシサカキといった暖帯性の樹木が生育していることが特徴です。これは、社叢が地下水の湧き出る場所に位置しているため、根の周りの温度が一定に保たれているためと考えられています。

また、珍木であるシダレエノキが存在することも、社叢の価値を高めています。大正14年(1925年)には、松本女子師範学校の教諭がこの木を「天下に類を見ない珍種」として天然記念物に申請したという逸話も残っています。

社叢は、かつて長野県天然記念物に指定されていましたが、越県合併により、現在は岐阜県天然記念物となっています。

粟島神社



祭神



主神: 少彦名命(すくなひこなのみこと)
配神:
天照皇太神(あまてらすおおみかみ)
誉田別命(ほんだわけのみこと)
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
大山祗命(おおやまつみのみこと)

歴史



明治42年(1909年)の神社統合の際に、下山口にあった猿投神社を移築・改築したものです。この神社は相殿として、天照皇太神、誉田別命、倉稲魂命、少彦名命、大山祗命が合祀されています。

粟嶋信仰は、婦人病に効果があるとされ、特に安産、子宝、縁結びの神として崇められています。

祭礼



祭礼は4月3日に行われ、安産を願って底の無い竹柄杓が奉納されます。また、地元の伝統芸能保存会の子供たちによる奏楽や巫女の神楽が奉納されます。

関連リンク



上山口の諏訪神社社叢 岐阜県公式ホームページ
諏訪神社詳細 岐阜県神社庁

参考文献



『山口村誌 下巻(近・現代・民俗)』山口村誌編纂委員会 平成7年
『寺と神社 (信州の文化シリーズ)』信州郷土史研究会 信濃毎日新聞社 1981年

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。