論証ブロックカード

論証ブロックカードとは

論証ブロックカードとは、司法試験をはじめとする法学の学習において、論点と呼ばれる重要な争点について、議論の内容をまとめたカードを準備し、記憶と活用を効率化する学習方法です。論証パターン、論点ブロックカードとも呼ばれます。

概要

論証ブロックカードは、伊藤塾の塾長である伊藤真氏がLEC時代に考案し、司法試験受験界に広めたとされています。法学には、論者によって見解が分かれる「論点」が存在します。そこで、各論点に関する論証を事前に準備し、受験生が暗記することで、試験本番の答案作成に役立てるという手法です。

本来は、受験生が各自で論証を準備し、活用することが理想とされていました。しかし、実際には予備校が用意した典型的な論証をそのまま利用するケースが多く見られます。

効用

論証ブロックカードの主な効用は以下の通りです。

暗記の効率化: 論点を整理し、体系的に暗記することができます。
試験時間短縮: 事前に準備した論証を暗記することで、試験中に論証を組み立てる時間を短縮できます。

弊害

一方で、論証ブロックカードには以下のような弊害も指摘されています。

思考力低下: 暗記に偏重し、自分の頭で考えることを怠る可能性があります。
答案の画一化: 多くの受験生が同じ論証を使用するため、答案が似通ったものになりがちです。
* 試験委員からの批判: 司法試験の試験委員経験者からは、暗記に頼った答案は評価されないという批判があります。

このような批判を受け、司法試験の出題傾向にも変化が見られるようになりました。典型的な論点に着目する問題が減り、基礎的・全般的な内容を問う問題が増加したり、既存の論点に見せかけて、実は異なるという技巧的な出題が用いられるようになったりする傾向があります。

さらに、法科大学院が設置される際、司法試験予備校の弊害が理由の一つとして挙げられました。その中でも、論証ブロックカードは特に批判の対象となりました。

論証ブロックカードは、効率的な学習を支援するツールとして有効な側面もありますが、その利用には注意が必要です。暗記に偏らず、常に自分の頭で考え、理解を深めることが重要です。

もう一度検索