諸戸家

諸戸家の歴史と人々

三重県伊勢・桑名にある諸戸家は、日本一の富を誇る山林王として知られる素封家です。一族の所有する山林は一万町歩にも及び、その財力や資産は形容し難いものでした。この膨大な富の起源は、初代諸戸清六に遡ることができます。

初代清六の業績と信条

初代清六は幼名を民治郎とし、父の名を引き継ぎ清六に改名してから、立志の誓いを立てました。この誓いは現在も家訓として受け継がれています。「時間是金也」、すなわち「時は金なり」を信条に、彼は勤倹節約を実践し、わずか2年で父の借金を返済しました。1872年には、三重県令と知り合うことでビジネスでの展開を強化し、その後も多くの著名な政商たちと親しい関係を築きました。

また、西南戦争における米相場での大儲けを機に、大蔵省の御用米買方としても名を馳せることになります。土地投資にも目を向けた清六は1883年頃から田地の購入を開始し、短期間で5千町歩の土地を手に入れました。彼の先見の明は、恵比寿から渋谷、駒場にかけての住宅地の購入にも見られ、時代を先取りしたビジネスセンスは評価されています。

初代清六の家族とその影響

初代清六の二男、精太は早逝しましたが、父の人脈を活かしタオル事業や証券会社設立に携わり、一族の経済的な基盤をさらに強固にしました。精太の後を継いだ四男清吾は二代目清六として名乗り、宗家と本家に分かれてそれぞれ商業と林業などの事業を営み、諸戸グループを形成しました。

家族関係の広がり

初代清六の孫、精文は名古屋高等商業学校を修了後、家業を継ぎました。彼の妻、綾子は著名な内務官僚の長女で、その家系も高い名門と繋がりを持っていました。このように、同族及び他の名家との結びつきが彼らの社会的地位をさらに向上させていく結果につながりました。

さらに、清文の子供たちも多くの有名一家と結婚し、岡崎家をはじめ神戸岡崎財閥との婚姻もあり、資本主義の源流を成す人物たちとのつながりも生まれました。諸戸家の名門としての影響力は、今も続いています。

二代目清六のビジョン

二代目清六を名乗る清吾は、様々な事業を展開し、家族の財を守り続けました。二代目の下でも、諸戸グループは多角的に発展し、林業や商業の基盤が確立されています。二代目清六の妻は名古屋の旧家から嫁いでおり、家族同士の結びつきも多く、双方の商業ネットワークにも影響を与えています。

結び

諸戸家はその富と影響力だけでなく、家族間の絆を深めながら日本の歴史に刻まれてきました。彼らの名は、現代においても多くの事業や家族の結びつきによって受け継がれ、多くの人々に影響を与え続けています。

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