謝富治

謝富治（しゃ ふじ）は、1909年9月26日に清の湖北省黄安県で、手工業を営む家庭の子として生を受けた、中華人民共和国の政治家および軍人です。中国工農紅軍に加わり、中国共産党に入党後は、紅四方面軍で下級幹部から組織部門の責任者まで昇進しました。彼は鄂豫皖（おべいかん）ソヴィエト区での「囲剿（いそう）」に対する抵抗戦や、川陝（せんせん）ソヴィエト区における「三路囲攻（さんろいこう）」、「六路囲攻（ろくろくいこう）」といった敵軍の掃討作戦への対抗戦に従事しました。長征中は紅九軍の政治部主任を務め、陝北（せんほく）に到達後は抗日紅軍大学で学びました。

日中戦争期には、八路軍第129師で政治処主任、政治委員、第385旅政治委員、そして太岳（たいがく）軍区副司令員、縦隊政治委員として活躍し、太岳区における日本軍の「掃討作戦」への対抗を指導しました。1945年8月の終戦後、彼は晋冀魯豫（しんきろよ）軍区第4縦隊政治委員、太岳兵団（陳謝兵団）の政治委員に就任しました。国共内戦中の1947年8月には、司令員の陳賡（ちん こう）とともに黄河を強行突破し、豫西（よし）地域に進攻しました。これは晋冀魯豫野戦軍主力が大別山（だいべつさん）へ向かう重要な戦略行動を側面から支援するものでした。1949年2月には第2野戦軍第3兵団政治委員となり、渡江（とこう）戦役や西南進軍といった戦役に参加し、新中国の建国に貢献しました。

1949年10月に中華人民共和国が成立した後、彼は党川東区委員会書記や川東軍区政治委員、1952年7月からは党雲南省委員会第一書記、1954年7月には西南軍区副政治委員、その後雲南軍区や昆明軍区の責任者、さらに1958年12月には武装警察部隊の司令員と政治委員を兼任するなど、地方や軍の要職を歴任しました。

党内での地位も向上し、1956年9月の第8回党大会で党中央委員会委員に選出されました。1959年9月17日、第2期全国人民代表大会常務委員会の決定により、公安部部長に任命されました。1965年1月4日の第3期全国人民代表大会第1回会議では、国務院副総理と公安部部長を兼務することになり、同日、第3期国防委員会委員にも任命されました。1966年8月12日の第8期11中全会では、党政治局候補委員および書記処書記に補選され、党中央での影響力を強めていきました。

1969年4月、第9回党大会で党中央委員会委員に再選され、同月28日の第9期1中全会で党中央政治局委員に選出されました。文化大革命の激動期においては、党中央書記処書記、党中央軍事委員会委員、北京市委員会第一書記、北京軍区第一政治委員、中央専案審査小組メンバーといった重要なポストを兼務し、北京を拠点に大きな権力を振るいました。彼はこの時期、林彪（りん ぴょう）、江青（こう せい）らが率いる勢力に深く関与し、劉少奇（りゅう しょうき）をはじめとする多くの古参幹部や革命の功労者を激しく弾圧・迫害する役割を担ったとされています。

謝富治は1972年3月26日に北京で病のため死去しました。

彼の死後、1980年10月16日、党は謝富治の党籍を剥奪することを決定しました。さらに、1981年1月23日に最高人民法院特別法廷によって、彼は文化大革命を主導した林彪・江青反革命集団事件の主要な犯人の一人であると公式に断定されました。最終的な軍の階級は上将でした。

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