謝文駿

謝 文駿

謝 文駿（しゃ ぶんしゅん、1990年7月11日 - ）は、中華人民共和国・上海市出身の陸上競技選手。専門種目は110メートルハードル。

中国陸上界の英雄である劉翔と同じ上海に生まれ、同じ孫海平コーチに師事するなど、早くから「ポスト劉翔」として大きな期待が寄せられてきた選手である。父は水泳とバレーボール、母は陸上短距離の経験者というスポーツ一家に育ち、その才能を開花させた。18歳で13秒47の好記録をマークし、国内の主要タイトルも手にするなど、若くして頭角を現した。

長年にわたり、彼は世界最高峰の舞台である世界選手権やオリンピックで準決勝の壁に阻まれ続けてきた。しかし、努力を重ねて自己記録を13秒17まで短縮し、これはアジア歴代4位、中国歴代2位に位置する記録となっている。国内やアジアではトップの座を確立し、アジア大会では2014年に仁川大会で優勝を果たし、この種目での中国勢の連覇記録を更新。アジア選手権でも2015年に自国開催の武漢大会を制している。ダイヤモンドリーグのような国際的な招待大会でも好成績を残し、2014年の上海ゴールデングランプリでは強豪選手を抑えて優勝を飾るなど、その実力は世界のトップレベルに迫っていた。

国際主要大会における挑戦は続いた。2012年のロンドンオリンピックでは初のシニア世界大会ながら準決勝へ進み、当時の自己ベストを更新する力走を見せたが、惜しくも決勝進出を逃した。その後も世界選手権では2015年の北京大会、2017年のロンドン大会と連続して準決勝に進むものの、あと一歩のところで決勝への扉を開けずにいた。長年の目標であった世界大会決勝進出は、容易には達成できない壁として彼の前に立ちはだかっていた。

しかし、2019年にカタールで開催されたドーハ世界陸上競技選手権大会で、ついにその壁を破る。予選、準決勝を突破し、悲願の決勝進出を果たしたのである。決勝レースでは世界のトップハードラーたちと肩を並べ、5位という素晴らしい成績を収めた。これは、彼が長年にわたり培ってきた実力と、困難に立ち向かい続ける精神力の証であった。劉翔の後継者という重圧の中でキャリアを歩んできた謝文駿は、自身の力で世界の舞台における存在感を示し、ハードル王国・中国の歴史に新たな一ページを刻んだのである。自己ベストの13秒17は、彼のキャリアにおける重要な到達点の一つであり、今後の更なる活躍が期待される記録である。

自己ベスト

110mハードル：13秒17

主な実績

2008年：中国選手権 110mハードル 優勝
2012年：ロンドンオリンピック 110mハードル 準決勝進出
2014年：IAAFダイヤモンドリーグ上海 110mハードル 優勝
2014年：仁川アジア大会 110mハードル 優勝
2015年：武漢アジア選手権 110mハードル 優勝
2015年：北京世界選手権 110mハードル 準決勝進出
2017年：ロンドン世界選手権 110mハードル 準決勝進出
* 2019年：ドーハ世界選手権 110mハードル 5位

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