議事規則本

議事規則：会議と議会の運営を支えるルールブック

議事規則とは、会議や議会において議事手続きを円滑に進めるための規則をまとめたものです。民主的な意思決定を支える重要なツールであり、様々な組織や議会で活用されています。本稿では、議事規則の種類、歴史、そして組織における利用状況について詳細に解説します。

議事規則の多様性と組織への適用

組織や議会によって、利用する議事規則は異なります。規模や目的、文化、そして歴史的な背景などが、議事規則の選択に影響を与えます。例えば、大規模な国際機関と小さなクラブでは、必要な規則の複雑さが大きく異なるでしょう。

多くの組織は、独自の議事規則を作成・採用します。これらは、組織の憲法や規約、あるいは組織独自の会議手続き規則を反映しています。こうした独自の規則は「特別議事規則」と呼ばれる場合もあります。一方で、既存の議事規則を参考にしたり、慣習に基づいて運営される組織もあります。

特定の議事規則を採用しない組織は、慣例に従ったり、「共通議会法」のような一般的に認められた規範を参考に運営されることもあります。重要なのは、組織のニーズに合った適切なルールを選択し、透明性と公平性を確保することです。

議事規則の利用状況：実態調査

アメリカ合衆国では、1999年の調査で、公認プロフェッショナル国会議員（CPP）の90％が『ロバーツ議事規則新改訂版（RONR）』を使用していることが明らかになりました。一方、『標準議会手続き法（旧スタージス、現AIPSC）』は8％、『デメテルの議会法および手続きマニュアル』などの他の議事規則は3％にとどまりました。この結果から、RONRがアメリカ合衆国において圧倒的なシェアを占めていることがわかります。カナダでは『ブリノの議事規則』が広く利用されています。

代表的な議事規則：歴史と特徴

ロバーツ議事規則

1876年に初版が出版された『ロバーツ議事規則』は、アメリカ合衆国で最も有名で広く利用されている議事規則です。長年にわたる改訂を重ね、現在では第12版が最新版として親しまれています。その簡潔さと分かりやすさから、様々な組織で採用されています。

標準議会手続き法

1950年にアリス・スタージスによって初めて出版された『標準議会手続き法』は、その後『アメリカ国会議員協会の標準議会手続き法（AIPSC）』として改訂されました。アメリカ合衆国の医師会や歯科医師会など、専門職団体で広く利用されています。

デメテルの議会法と手続きマニュアル

1948年に初版が出版された『デメテルの議会法と手続きマニュアル』は、北米の労働組合やギリシャの組織で広く利用されています。現在ではアメリカ国会議員協会によって出版されています。

各国の議会における議事規則

各国、各議会では、それぞれ独自の議事規則が使用されています。

イギリス議会では『アースキン・メイ：議会実務』が、カナダの庶民院では『ボーシェーヌの議会規則と形式』、オーストラリア下院では下院の慣例がそれぞれ基準となっています。アメリカ合衆国議会では、上院と下院で異なる規則が用いられており、州議会レベルでは『メイソンズ・マニュアル』や『ジェファーソンの議事規則』なども使用されています。地方議会では『ロバーツ議事規則』がしばしば採用されています。

参考文献

上記の記述に加え、様々な文献が議事規則に関する詳細な情報や、異なる議事規則間の比較を提供しています。これら文献は、議事規則の深い理解を深める上で役立つでしょう。それぞれの文献の入手方法は、個別に確認してください。

まとめ

議事規則は、会議や議会の円滑な運営、そして民主的な意思決定に欠かせないものです。組織の規模や性質、文化的な背景などに応じて適切な議事規則を選択することが重要です。本稿で紹介した様々な議事規則を理解することで、組織運営の改善に役立つでしょう。

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