谷洋子

谷洋子の生涯

谷洋子（たに ようこ）は、1928年8月2日にパリで生まれた日本の女優です。国際的な映画俳優の草分けとして知られ、その活躍は日本のみならずヨーロッパでも高く評価されました。

生い立ちと家族

父は経済学者の猪谷善一、母は儒学者江木鰐水の曾孫である妙子です。江木家は、明治時代に写真館を開業した保男や、その妻である悦子など、多彩な人物を輩出しています。妙子の父である定男は、悦子に育てられ、その後、悦子の妹であるませ子と結婚しました。ませ子は、美人画で有名な鏑木清方の作品「築地明石町」のモデルとしても知られています。

また、作家の中勘助は、定男と一高で知り合い、江木家にも出入りしていました。中勘助は幼い頃から妙子に恋心を抱き、その姿を作品にも描いています。

父・善一は、富山県の薬を扱う家の出身で、東京高等商業学校で経済学を学びました。彼は女学校の授業参観で妙子を見初め、パリ留学の際には妙子も同行しました。当時、そのような出会いが婚活の手段の一つだったとされています。

学生時代と留学

1928年にパリで生まれた谷洋子は、1930年に両親と共に帰国しました。東京女子高等師範学校附属高等女学校（現・お茶の水女子大学附属高等学校）では、活発で少しエキセントリックな性格で知られていました。運動神経が抜群で、発育も良く胸が大きかったため、さらしで押さえていたというエピソードが残っています。

戦後、津田塾大学を卒業。在学中から英語を熱心に学び、卒業後は母校で英語教師として勤務しました。

1950年、カトリック教会の援助でパリに留学し、パリ大学で哲学と美術を学びました。妹の令子によると、当初は画家を目指していたようで、藤田嗣治に絵を見てもらったこともあったそうです。しかし、なかなか帰国しないため、父・善一が仕送りを止めたため、やむなくアルバイトでレビューに出演しました。着物を重ねて着て一枚ずつ脱ぐという演出が好評を博し、マルセル・カルネ監督に見いだされ、ヨーコ・タニ名義で女優としての活動を開始しました。

女優としての活躍

パリ大学在学中に女優としてデビューした谷洋子は、1956年に渡仏後初めて日本に帰国し、映画に出演しました。同年には映画『裸足の青春』で共演したローラン・ルザッフルと結婚しています。

1961年に再び帰国し、杉並区天神町に居を構えましたが、1968年にはローランと離婚し、実業家のロジェ・ラフォレと交際していました。

その後と死

1999年4月19日、谷洋子はパリで亡くなりました。享年70歳。彼女はロジェと共にブルターニュの墓地に眠っています。

谷洋子は、ベルギーの漫画家ロジェ・ルルーのSF漫画『ヨーコ・ツノ』の主人公のモデルとしても知られています。

代表的な出演作品

『風は知らない』
『バレン』
* 『裸足の青春』

谷洋子は、その国際的な活躍と、個性的な魅力で、多くの人々を魅了した女優でした。彼女の生涯は、日本の映画史においても重要な足跡を残しています。

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