豊田きいち

豊田きいち：日本の出版文化に貢献した編集者、著作権研究者

豊田きいち氏（1925年4月6日 - 2013年1月10日、本名：豊田亀市）は、日本の出版業界において重要な役割を果たした編集者であり、著作権研究者でした。戦後まもなく小学館に入社し、学習雑誌『小学一年生』から『小学六年生』まで編集に携わった後、1959年には日本初の週刊少年誌『週刊少年サンデー』の初代編集長に就任。その後『女性セブン』初代編集長も務めるなど、数々の雑誌編集を成功に導きました。

彼の経歴は、激動の時代を反映しています。旧制中学校、旧制高等学校を経て陸軍予備士官学校で終戦を迎え、早稲田大学に入学したのち、金田一京助先生の影響を受け國學院大學へ転入。1949年の卒業後、小学館に入社した彼の編集者としてのキャリアは、まさに日本の出版史と軌を一にします。

小学館での活躍は、学習雑誌から週刊誌へと多岐に渡り、日本の出版業界の変遷を肌で感じながら、自らその中心人物として貢献したと言えるでしょう。『週刊少年サンデー』の創刊は、日本の少年誌の歴史においても大きな転換点であり、豊田氏の編集者としての力量と先見性が際立っています。また、『女性セブン』の編集長時代には、女性誌の新しい形を確立する上で重要な役割を果たしました。

編集者としての成功に加え、豊田氏は著作権問題にも深い関心を持ち、専門的な知識を習得しました。小学館退職後は、日本児童教育振興財団専務理事、日本ユニ著作権センター代表理事などを歴任し、出版業界における著作権保護の重要性を訴え続けました。その専門性を活かし、著作権に関する書籍を数多く執筆・監修。これらの著作は、編集者や出版関係者にとって貴重な指針となっています。

彼の著作には、『編集者の著作権基礎知識』（日本エディタースクール、1993年）、『マスメディアと著作権 - 著作権トラブル最前線』（太田出版、1996年）、『著作権と編集者・出版者』（日本エディタースクール、2004年）、『事件で学ぶ著作権』（太田出版、2011年）、『編集 -悪い本ほどすぐできる 良い本ほどむずかしい』（構成：久野寧子、パイインターナショナル、2016年）などがあります。これらを通して、著作権の基礎知識から実践的な問題解決まで、幅広い知識を提供しています。また、『履歴書・応募書類の鉄則』（藤原幸久著、出版館ブック・クラブ、1997年）の監修も務めています。

豊田きいち氏の生涯は、日本の出版業界発展の歴史そのものと言えるでしょう。学習雑誌から週刊誌、そして著作権問題への取り組みまで、常に時代の最先端を走り続け、日本の出版文化に多大な貢献を果たしました。彼の残した著作は、これからも多くの編集者や出版関係者に学びと示唆を与え続けるでしょう。87歳で逝去されましたが、その功績は長く記憶され続けるに違いありません。

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