豊田実 (医学者)

豊田 実（とよた みのる）

日本の医学者、医師。札幌医科大学医学部で教授を務めた。1963年に北海道美唄市で生まれ、2011年6月に胆管がんのため死去した。

経歴

1982年に北海道岩見沢東高等学校を卒業後、札幌医科大学医学部に進学。同大学で医学を修め、さらに大学院医学研究科の博士課程を修了した。博士課程修了後は、北海道立江差病院で医師としてのキャリアをスタートさせる。その後、国立がん研究センター発がん研究部で研究員として勤務するなど、がん研究の分野に深く関わった。さらに、アメリカ合衆国のジョンズ・ホプキンス大学癌研究所への留学も経験し、国際的な視点から研究を推進した。

国内帰国後、2000年に母校である札幌医科大学医学部の助手として大学でのキャリアを再開。2004年には講師に昇任し、教育・研究活動に従事した。そして2008年、同医学部教授に就任し、その研究室を率いる立場となった。

1993年には、札幌医科大学より医学博士の学位を取得している。博士論文のテーマは「上皮性腫瘍細胞におけるc-kit及びkit ligandの発現」であり、腫瘍細胞の発生メカニズムに関する初期の研究成果を示している。

研究分野

専門とする研究分野は多岐にわたるが、特に産婦人科学、消化器内科学、そして発がん作用に関する研究に重点を置いていた。がんの発生機序や遺伝子異常、DNAメチル化異常などが主要な研究テーマであった。

主な業績

発がん研究において重要な論文を複数発表している。共著論文には以下のようなものがある。

牛島俊和、今井浩三、杉村隆、長尾美奈子との共著で、実験動物を用いた消化器癌における遺伝子異常の解析に関する論文（1995年）。これは消化器癌の発生メカニズムの理解に貢献した。
奥田平和、土屋睦美、時野隆至、執印太郎との共著で、腎癌におけるメチル化CpGアイランドの単離とDNAメチル化異常の解析に関する論文（2003年）。腎癌におけるエピジェネティックな変化に光を当てた。
* 鈴木拓、篠村恭久、今井浩三との共著で、DNAメチル化異常の発がんにおける役割とDNAメチル化検出法による診断・治療への応用に関する論文（2008年）。発がんにおけるDNAメチル化の重要性とその臨床応用について論じている。

これらの研究は、がんの分子メカニズムの解明や新たな診断・治療法開発に向けた基礎的な知見を提供するものであった。

人物

北海道出身であり、故郷の札幌医科大学で長く医学の発展と人材育成に貢献した。国内外での豊富な研究経験を持ち、特にがん研究分野における貢献は大きい。

2011年6月、50歳に満たない若さで逝去したが、その研究成果は後続の研究者たちに引き継がれている。

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