豊田浩志

豊田 浩志

豊田 浩志（とよた こうじ）氏は、1947年に広島県で誕生した日本の歴史学者です。長年にわたり、西洋史学、特に初代キリスト教史およびローマ帝政史の研究に従事し、上智大学で教鞭をとった後、現在は同大学名誉教授の称号を得ています。

経歴

豊田氏は、郷里の広島県にある広島学院高等学校を卒業後、学究の道に進みました。1970年に広島大学文学部史学科の西洋史学専攻を修了し、その後、同大学院文学研究科にて西洋社会史専攻の修士課程を1972年に終えました。さらに博士課程に進み、1977年には単位を取得した上で退学し、母校である広島大学の助手として研究キャリアをスタートさせました。

1978年からは美作女子大学（現在の美作大学）に移り、専任講師として教育・研究活動を展開しました。同大学では1981年に助教授へと昇任し、教育者としての経験を積みます。

1988年、豊田氏は上智大学文学部に助教授として着任しました。その後、1991年には教授へと昇任し、長きにわたり上智大学で西洋史学の研究・教育を主導しました。この間、研究成果を着実に積み重ね、1997年には広島大学より博士号を授与されました。2017年に上智大学を定年により退職し、その功績を称えられ名誉教授の称号が贈られました。

研究分野と業績

豊田氏の専門は西洋史学、特に古代ローマ帝国の時代における初代キリスト教の成立とその発展過程、そしてローマ帝政期全般にわたる歴史の研究です。古代地中海世界における社会構造、宗教、文化など多岐にわたるテーマに関心を寄せ、研究を進めてきました。

その研究成果は多くの著作として発表されています。主な単著としては、キリスト教がローマ帝国の中でどのように興隆していったのかを詳細に論じた『キリスト教の興隆とローマ帝国』（南窓社、1994年）があります。また、現代社会の「危機」という視点から西洋史上の事例を考察する共著『危機をめぐる歴史学 - 西洋史の事例研究』（堀井健一氏らとの共著、山代宏道氏編、刀水書房、2002年）にも参加しています。

さらに、編者としても複数の重要な書籍を刊行しています。キリスト教における修道制の歴史的・社会的位置づけを探る『キリスト教修道制 - 周縁性と社会性の狭間で』（上智大学出版会、2003年）、上智大学における西洋古代史研究の蓄積をまとめた『神は細部に宿り給う - 上智大学西洋古代史の20年』（南窓社、2008年）、古代の史料学に新たな視点を提示する『モノとヒトの新史料学 古代地中海世界と前近代メディア』（勉誠出版、2016年）、古代ローマの港湾都市オスティア・アンティカに関する最新研究を紹介する『古代ローマの港町 オスティア・アンティカ研究の最前線』（坂口明氏との共編、勉誠出版、2017年）などがあります。

翻訳にも携わっており、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂地下にあるネクロポリスに関するピエトロ・ザンデル氏の著作『バチカン サン・ピエトロ大聖堂下のネクロポリス』（牧島優子氏、西田有紀氏との共訳、ぎょうせい、2011年）を日本語で紹介しています。

長年の教育・研究活動を通じて、日本の西洋古代史研究分野において重要な役割を果たし、多くの後進の育成にも貢献しました。

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