貝淵弘三

貝淵 弘三（かいぶち こうぞう）

基本情報

貝淵弘三は、1955年7月2日に大阪府で生まれた日本の医師、医学者であり、専門は生化学、薬理学、神経科学です。1984年に神戸大学で医学博士の学位を取得し、その後は名古屋大学大学院医学系研究科の教授や、藤田医科大学総合医科学研究所の所長を歴任しました。また、彼は紫綬褒章を受章するなど、その業績が広く認められています。

学歴と職歴

貝淵氏は1980年に神戸大学医学部を卒業し、大学院での学びを経て、1984年に助教授として神戸大学医学部に所属します。その後、米国でポストドクターとしての経験を積んだ後、神戸大学の講師や助教授としての役割を経て、1994年に奈良先端科学技術大学院大学の教授に就任しました。その後、名古屋大学でも教授として活躍し、2019年からは藤田医科大学で総合医科学研究所の所長を務めています。

研究業績

貝淵氏の研究は、生化学や細胞生物学の幅広い領域にわたり、その成果は多くの受賞歴に結びついています。特に、以下のような研究において顕著な功績を残しています。

1. 細胞の収縮と極性形成の制御

彼はRho GTP結合蛋白質に関する研究を行い、その標的となるRho-キナーゼの発見に成功しました。そのシグナル伝達機構を明らかにしたことで、細胞の運動や極性を制御する機構の理解に寄与し、結果として2008年に読売東海医学賞、2011年には中日文化賞を受賞しています。

2. 血管の異常収縮機構

貝淵氏は、血管の病理的な収縮に関する研究でも顕著な成果を挙げています。Rho-Rho-キナーゼ経路がカルシウム感受性に与える影響を解明し、狭心症や肺高血圧症の病態に関連することを発見しました。この研究により、2015年に日本薬理学会から江橋節郎賞を受賞しています。

3. 神経細胞の軸索形成

神経細胞の研究において、彼はCRMP-2という分子を同定し、これが神経細胞の極性形成における重要な役割を果たすことを示しました。この研究は2009年に名古屋での日本神経科学会から時實利彦記念賞を受賞することにつながりました。

4. リン酸化シグナルの解析

さらに、彼は新たなリン酸化プロテオミクス法を開発し、ドーパミン関連のリン酸化シグナルを網羅的に解析することに成功しました。また、神経伝達物質が引き起こすリン酸化シグナルとその影響を総合データベースとしてまとめたKANPHOSを公開しました。

受賞歴

貝淵氏は多くの賞や栄誉を受けており、以下のような受賞歴があります:

• - 1992年 日本癌学会奨励賞
• - 1998年 NAIST学術賞
• - 2000年 ISI highly cited researchers選出
• - 2008年 読売東海医学賞
• - 2009年 日本神経学会時實利彦記念賞
• - 2011年 中日文化賞
• - 2015年 日本薬理学会江橋節郎賞
• - 2017年 紫綬褒章

まとめ

貝淵弘三は、その広範な研究成果によって日本の医学界に多大な影響を与えてきました。彼の業績は国際的にも高く評価され、多くの若手研究者にとって大きな刺激と道しるべとなっています。

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