負けて、勝つ 〜戦後を創った男・吉田茂〜

ドラマ『負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜』

『負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜』は、2012年9月8日から10月6日にかけてNHKの『土曜ドラマスペシャル』で放送された全5回のテレビドラマです。主演には名優・渡辺謙が登場し、戦後の日本を邁進した実在の政治家・吉田茂の複雑な人生が描かれています。本作は、吉田の視点を通じて、戦後の混乱期における日本の政治状況や外交を浮き彫りにしました。

概要 and あらすじ

このドラマは、土曜ドラマスペシャルの第11作目として制作されました。物語は、連合国による占領下の日本を舞台にしており、内閣総理大臣である吉田茂がどのように国をまとめていったのかを探ります。吉田は、反戦活動を行った末に政治の世界へと引き込まれ、外務大臣や内閣総理大臣として国を指導します。また、彼と対立する存在として、GHQ総司令官ダグラス・マッカーサーも重要な役割を果たします。

もともとは昭和史を大局的に描く内容だった企画が、変化を経て現在の形に至ったといいます。放送前には、本作を紹介する10分間のPR番組『「負けて、勝つ」のすべて』が放送され、視聴者の期待を高めました。

登場人物

吉田茂（演：渡辺謙）

本作品の主人公で、内閣総理大臣として日本の戦後を支えた政治家です。自由民権運動に根ざした信念を持ち、父の影響を受けて成長した彼は、外交官や外務大臣としても活躍しました。冷徹な判断力を持ちながらも、昭和天皇の戦争責任を回避しようとする姿勢が描かれ、個人的な人間関係にも葛藤が見え隠れします。

小りん（演：松雪泰子）

吉田の内縁の妻として彼を支える女性で、周囲からは後妻と見なされることもありますが、吉田との信頼関係を築いています。強い意志を持ち、時には吉田を叱咤する場面も見られます。

吉田健一（演：田中圭）

吉田の長男であり、戦後に復員した彼は、父との関係の亀裂に悩みます。父の政界への進出が家族を疎遠にしたことに対して反感を抱く一方で、彼もまた自身の道を模索しています。

戦後の日本とその影響

本作は、戦後の日本が直面した様々な問題を鮮明に描写しています。民主化の波やGHQの影響力、天皇の立場といった複雑な政治情勢が、吉田の政治活動にどのような影響を与えたのかを通じて観察できます。特に、マッカーサーとの関係性や、吉田の突き進む姿勢は、観る者に深い印象を与えました。

制作背景

このドラマの制作は2010年に始まったもので、当初の構想から大幅に変更が加えられ、最終的に戦後の日本の政治的なドラマへと結実しました。脚本を手がけた坂元裕二は、幅広い人間ドラマを背景に吉田の生涯を描くことに成功し、多くの視聴者の心を捉えました。第1回放送直前には、特別番組が放送され、視聴者の関心が集まりました。

本作は、日本の歴史と政治の重要な一面を描いた作品として、今日でも多くのファンに親しまれています。ドラマのなかに込められたメッセージや、登場人物たちの深い人間関係に触れることにより、視聴者はより多くの考察と思索を促されることでしょう。

もう一度検索