財産税法

財産税法（昭和21年法律第52号）

財産税法は、第二次世界大戦後の混乱期、1946年（昭和21年）に施行された日本の法律です。連合国軍占領下において、戦時中に得た利益を没収することを主な目的としていました。

概要

財産税法は、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）が発した「戦時利得の除去及び国家財政の再編成に関する覚書」に基づいて制定されました。これは、戦時補償を打ち切るための戦時補償特別措置法と合わせて実施されたもので、当時の日本経済の再建を図るための重要な政策の一環でした。

本法の施行に先立ち、政府は預金封鎖と新円切替を同時に実施し、臨時財産調査令によって国民に財産（特に金融資産）の強制的な申告を義務付けました。財産税法では、この調査結果に基づいて課税額が決定されました。基準日は1946年3月3日午前0時と定められ、この時点で国内に在住していた個人の全財産、および国外在住者が国内に所有していた財産が課税対象となりました。

構成

財産税法は、以下の章で構成されています。

第1章：総則
第2章：課税価格、免税点及び税率
第3章：財産の評価
第4章：申告
第5章：納付
第6章：課税価格の更正及び決定
第7章：審査、訴願及び行政訴訟
第8章：物納及び延納
第9章：雑則
第10章：罰則
第11章：補則
附則

これらの章では、財産税の基本的な事項から、具体的な課税方法、財産の評価方法、納税手続き、不服申し立て、そして罰則などが詳細に規定されています。

納税義務者

財産税法における納税義務者は、以下の通りです。

財産の全部に課税される者
戸籍法の適用を受ける個人で、1946年3月3日午前0時において、本州、北海道、四国、九州および付属島嶼に住所を有するか、1年以上居住していた者
戸籍法の適用を受ける個人で、調査時期後2年以内に施行地に住所を有し、または1年以上居住する者
法律の施行地に有していた財産に課税される者（制限納税義務者）
戸籍法の適用を受けない個人で、調査時期において法律の施行地に住所を有し、または1年以上居住していた者
上記に該当しない個人で、調査時期において法律の施行地に財産を有していた者

ただし、命令で定める外国人には課税されませんでした。

税率

財産税の税率は、超過累進課税方式が採用されました。同居家族がいる場合は、課税価格を合算した総額に対して税額を算出し、各人の課税価格に応じて按分されました。これにより、高額な財産を持つ者ほど高い税率が適用される仕組みとなっていました。

財産税法は、戦後の日本経済に大きな影響を与えた法律の一つであり、その制定と施行の過程は、当時の社会情勢や経済状況を反映しています。

関連項目

戦時補償特別措置法
財産税
富裕税
税理士
国税庁
税務大学校

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