貴乃花一門

貴乃花一門とは

貴乃花一門は、かつて大相撲に存在した一門です。2010年、当時の二所ノ関一門に所属していた貴乃花親方が、理事選で一門の方針に反して独自に立候補したことが発端となり、複数の部屋や年寄が同調。結果として、二所ノ関一門から事実上の破門扱いを受けた関係者たちが集まり、貴乃花親方を軸とするグループを形成しました。

一門成立の経緯

2010年の理事選で、貴乃花親方はグループの基礎票に加え、他の一門からも票を集め当選を果たしました。この動きは、相撲界における一門の枠組みを超えたもので、大きな注目を集めました。2012年の理事選でも当選を重ね、その勢力は拡大。立浪一門からも合流があり、一時的に勢力を増しました。

2013年には、支持者の一人が一門を離れる出来事もありましたが、2014年の理事選でも当選を続け、一門としての活動を継続しました。この頃から、協会からの助成金が支払われるようになり、正式に「貴乃花一門」と名称を改めました。これは、1945年以来の新興一門であり、長らく5つであった一門の数が6つに増えるという、相撲界では画期的な出来事でした。

一門の動向と解散

2017年、日馬富士による暴行事件をめぐり、貴乃花親方が協会執行部と対立し、理事を解任される事態に。この影響で、他の一門から複数の年寄が合流する一方で、離脱する年寄も現れ、一門内は混乱しました。2018年の理事候補選では、貴乃花親方に代わり阿武松親方が立候補しましたが、貴乃花親本人が落選。同時に行われた副理事候補選でも、一門からの立候補者が落選し、一門の勢力は衰退しました。

この結果を受け、貴乃花親方は一門の看板を下ろすことを申し出、他の親方たちもこれを受け入れました。その後、一門は阿武松グループへと名称変更を申請する動きもありましたが、協会の方針により全ての親方は既存の5つの一門に所属することになり、旧貴乃花一門は解散。所属していた親方たちは、二所ノ関一門や出羽海一門などに復帰しました。2018年10月には、一門の創設者であった貴乃花親方が協会を退職。貴乃花部屋は、千賀ノ浦部屋に吸収される形で消滅しました。

一門解散後

貴乃花一門解散後、その名称は「旧貴乃花一門」などと呼ばれることが多くなりました。相撲協会機関誌などでも、一門一覧で「その他」や一門名を空欄として扱われ、かつての勢力は見る影もありません。最終的には、2018年11月に所属親方がそれぞれの既存の一門に移籍し、阿武松グループも完全に消滅。これにより、一門の数は再び5つに戻りました。

貴乃花一門は、その誕生から解散まで、相撲界に大きな波紋を広げた一門として、その歴史に名を刻んでいます。

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