資材運搬車

資材運搬車とは

資材運搬車は、陸上自衛隊が運用する不整地走行に特化した車両です。産業機械メーカーである諸岡が製造する民生用の不整地運搬車をベースに、陸上自衛隊の要求仕様に合わせて開発されました。ゴムクローラーによる高い走行性能と、クレーンやダンプ機能を備えているのが特徴です。

開発の背景

陸上自衛隊は、敵の侵攻を阻止する遅滞戦闘において、人員や装備を迅速に展開する必要があります。しかし、山間部や泥濘地など、通常のトラックが進入できない場所への輸送は困難でした。そのため、効率的な輸送手段が求められ、1990年から本車両の導入が開始されました。

特徴

資材運搬車は、ゴム製の履帯により、30度の登坂能力と1mの超塹能力を備えています。非装甲のセパレート式キャビンを持ち、運転席は左側、乗員席は右側に配置されています。車体前方には約2トンの吊り上げ能力を持つクレーン、後部にはリアダンプ式の荷台が装備されています。小型であるため、73式大型トラックによる輸送も可能です。不整地での運用を想定していますが、水陸両用ではありません。

運用

資材運搬車は、普通科、特科、施設科など様々な部隊に配備され、弾薬や築城資材などの輸送に使用されます。ゴム履帯により雪上での行動も可能で、冬季の演習では荷台に12.7mm重機関銃を搭載し、対空戦闘に使用されることもあります。東日本大震災では、瓦礫撤去作業にも活躍しました。

海外への提供

2003年には、東ティモールPKOにおいて、施設群の機材と共に4台が東ティモール政府に贈与されました。また、2023年にはウクライナへ、2024年にはベトナムへも提供が行われ、国際協力にも貢献しています。

登場作品

小説『超空自衛隊』では、災害派遣に向かう途中でタイムスリップした陸上自衛隊施設科部隊の装備として登場し、ガダルカナル島でドイツ製の37mm砲を搭載した自走砲として活躍しました。

まとめ

資材運搬車は、陸上自衛隊の多様な任務を支える重要な装備です。その高い機動性と汎用性から、不整地での物資輸送だけでなく、災害派遣や国際貢献にも貢献しています。

参考資料

Jグラウンド Vol.17

関連項目

陸上自衛隊の装備品一覧
61式特殊運搬車 - 陸自が過去に開発採用したが量産化に到らなかった山地用軽輸送車

外部リンク

資材運搬車の諸元

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