赤ちゃん騒動

赤ちゃん騒動 (A Mouse Divided)

1953年1月31日に公開されたワーナー・ブラザース製作のメリー・メロディーズ短編アニメーション作品『赤ちゃん騒動』。今なお高い人気を誇るこの作品は、酔っ払いのコウノトリと、猫のシルベスター、そしてネズミの赤ちゃんを中心とした、予想外の展開とユーモラスな描写が魅力です。

物語

物語は、酒に酔いつぶれたコウノトリが赤ちゃんを配達する場面から始まります。彼は、本来の届け先を見誤り、シルベスターと妻の猫の家に赤ちゃんを届けてしまいます。 赤ちゃんは、なんとネズミの赤ちゃんだったのです！

シルベスターは当初、このネズミの赤ちゃんを捕食しようとしますが、妻に制止されます。しかし、その後妻が外出している間に、こっそりと赤ちゃんをサンドイッチにしようと企みます。ところが、赤ちゃんから「パパ」と呼ばれたことで、シルベスターの心は大きく揺れ動きます。彼は、この小さなネズミの赤ちゃんを、自分の子供のように大切に育てることを決意するのです。

穏やかな日々も長くは続かず、多くの猫たちがこのネズミの赤ちゃんを狙って襲いかかってきます。シルベスターは、我が子を守るため、あらゆる手段で猫たちから赤ちゃんを守り抜こうと奮闘します。

猫たちは、窓から侵入したり、掃除機のセールスマンに扮して赤ちゃんを吸い込もうとしたり、ベビーシッターを装ったりと、実に様々な策略を弄してきます。また、ゆりかごの床をのこぎりで切ったり、サンタクロースに変装して煙突から侵入したり、さらには丸太で体当たりするなど、その執拗さは並ではありません。しかし、シルベスターは、持ち前の機転と勇敢さで、これらすべての企みを阻止します。

そんな中、赤ちゃんを間違った家に届けたことで上司から叱責されたコウノトリが、赤ちゃんを取り戻すべく登場します。彼は煙突から釣り糸を垂らし、赤ちゃんを回収しようとしますが、シルベスターはそれを新たな敵と勘違い。釣り糸を引っ張ったところ、なんとコウノトリに空へ引き上げられてしまうのです。

コウノトリは、成長した赤ちゃんだと勘違いしてシルベスターを連れて行ってしまいました。こうして、シルベスターはネズミの家族の一員として暮らすことになります。しかし、ネズミの妻は、「こんなのはうちの家系じゃない」と夫に愚痴をこぼすのでした。

スタッフと備考

監督はフリッツ・フレレング、音楽はストール・カールが担当しました。この作品はメリー・メロディーズシリーズに分類され、酔っ払いのコウノトリが登場するのは、1946年の『赤ちゃん配達便』に次いで2作目となります。

まとめ

『赤ちゃん騒動』は、予測不能な展開と、猫のシルベスターの意外な一面、そして可愛らしいネズミの赤ちゃんなど、多くの見どころが詰まった魅力的な作品です。笑いと感動、そして少しの意外性も味わえる、何度でも楽しめる、まさに名作と言えるでしょう。 猫とネズミという、アニメーション史において定番とも言える組み合わせが、新たな解釈とユーモアで描かれている点も注目に値します。 観る者の心を温かくする、忘れがたい短編アニメーションとして、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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