赤外線フィルム

赤外線フィルムとは

赤外線フィルムは、人間の目には見えない赤外線領域に感度を持つ特殊なフィルムです。かつてはコダックやコニカといった大手メーカーが製造・販売していましたが、現在ではローライやイルフォードといったメーカーが製造を続けています。一般的なモノクロフィルムの他に、コダックはリバーサルフィルムも販売していました。

赤外線撮影の基本

通常のフィルムは、主に紫から青色（約400～500nm）の波長に感度を持つため、赤外線撮影には赤色系のフィルター（R-64やSR-60など）が必須です。これらのフィルターを使用することで、可視光をカットし、赤外線のみをフィルムに感光させることができます。

赤外線フィルムの用途

赤外線フィルムは、絵画の鑑定、空中写真、医学用途、天体写真など、特殊な分野で活用されています。しかし、その独特な表現効果から、一般撮影でも用いられることがあります。例えば、風景写真では、遠景がクリアに写り、青空は黒く、雲は白く表現され、独特の迫力を演出できます。また、植物の緑は白く輝き、陰の部分は黒く写るため、幻想的な写真表現も可能です。

撮影時の注意点

赤外線は可視光よりも波長が長いため、通常のカメラで撮影する際には、いくつかの注意点があります。

1. ピント合わせ:
可視光用レンズでは、赤外線と可視光の波長の違いにより、焦点距離がずれることがあります。このため、ピントがぼける場合は、レンズに付いている赤外補正マーク（赤印やRマーク）を参考に、マニュアルフォーカスでピントを調整する必要があります。ただし、最近のオートフォーカスレンズには補正が不要なものもあります。

2. 露出:
カメラの露出機能は可視光用に設計されているため、赤外線量に応じた適切な露出を自動で求めることはできません。赤外線フィルムのパッケージやデータシートに記載された撮影条件を参考に、マニュアルで絞りやシャッタースピードを調整する必要があります。

赤外線フィルムの特徴

• - 遠景がはっきりと写る
• - 青空が黒く表現される
• - 雲が真っ白に写る
• - 植物の緑が白く輝く
• - 陰影が強調される
• - 幻想的な表現が可能

関連情報

• - 赤外線カメラ
• - 赤外線撮像素子

赤外線フィルムは、その独特な表現力から、多くの写真愛好家を魅了し続けています。特殊な撮影方法や機材が必要となる場合もありますが、その分、他では得られない魅力的な写真表現が可能です。

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