赤岩渡船

赤岩渡船の概要

赤岩渡船（あかいわとせん）は、埼玉県熊谷市の葛和田と群馬県邑楽郡千代田町の赤岩を結ぶ渡航手段であり、利根川の対岸間（約400メートル）を結ぶ重要な水上交通機関です。これは県道の一部であるものの、運営は群馬県から千代田町に委託されているため、地域の住民やサイクリング客に広く利用されています。

この渡船は埼玉県道・群馬県道83号熊谷館林線の代替交通手段として位置付けられ、唯一の「水上県道」として利用されています。運賃は無償で、日常的な交通手段として多くの人々に親しまれています。利用者は年間平均で約2万人に達します。渡船の利用にあたっては、千代田側からは小屋にいる船頭に直接声をかけ、葛和田側からは黄色の旗を揚げて合図する必要があります。

自転車を取り扱うことができるため、周辺住民の交通手段だけでなく、利根川沿いのサイクリング客にも利用されています。ただし、原動機付き自転車や自動二輪車は乗せることができません。

歴史的背景

赤岩渡船は、古くは上杉謙信に関連した文献に登場し、江戸時代には利根川を利用した河川舟運が盛んでした。この地域は江戸と房総を結ぶ主要な水路であり、大型船が頻繁に出入りしていたため、江戸幕府の坂東十六渡津の一つにも数えられる重要な場所でした。さらに、この地点は中山道熊谷宿と千人同心街道館林宿を結ぶ交通・流通の要所でもありました。

しかし、明治時代に入ると鉄道などの発達により、河岸場は衰退し、渡船のみが残る形となりました。1926年には群馬県営として運営が始まり、1949年には千代田町が正式に管理を引き継ぎました。

交通機関との接続

赤岩渡船は地域の交通において重要な役割を果たしているため、埼玉側と群馬側それぞれに路線バスが運行されています。千代田側には「赤岩渡船停留所」があり、館林駅行きのバスが運行されています。熊谷側には「葛和田停留所」があり、熊谷駅行きのバスが接続しているため、スムーズな移動が可能です。

将来的な展望

将来的には、この渡船の役割を引き継ぐ形で、埼玉県道・群馬県道83号熊谷館林線として利根川に架橋する道路計画も検討されています。この計画に対しては、熊谷市や千代田町をはじめとした関係者が長期的な呼びかけを行っており、2023年5月には両県知事による建設の表明もありましたが、具体的な時期は未定です。

運航時間及び使用船舶

運航は季節によって異なるものの、概ね以下の運行スケジュールが設定されています。

• - 4月1日～9月30日：午前8時30分から午後5時
• - 10月1日～3月31日：午前8時30分から午後4時30分

河川状況によっては臨時運休となる場合もあり、その際には千代田側に赤い旗が立てられます。使用されている船舶は「千代田丸」と「新千代田丸」の2隻で、どちらも動力船として運航されており、片道所要時間は約4分です。これにより、短時間で対岸へ渡ることができます。

赤岩渡船は単なる交通手段にとどまらず、地域社会との結びつきを強める重要な存在となっています。今後の発展も期待される渡船として注目されています。

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