赤染衛門

赤染衛門の生涯と歌風

概要

赤染衛門（あかぞめえもん、950年ごろ - 1041年頃）は、平安時代中期の著名な女流歌人であり、多くの和歌を残したことで知られています。彼女は大隅守である赤染時用の娘にあたります。また、中古三十六歌仙や女房三十六歌仙の一人として評価されています。

生涯の始まり

赤染衛門は赤染時用の娘と伝えられていますが、彼女の母の背景には興味深い物語があります。『袋草紙』によれば、赤染衛門の母は前夫である平兼盛との間に子を宿していた状態で時用と再婚し、その後赤染衛門を生んだとされています。兼盛は赤染衛門を自身の娘として引き取りたがったものの、母と時用の意向から拒否される結果となりました。

彼女の生年は定かではありませんが、藤原道隆との関係から推測され、天徳・応和年間（957-964年）生まれと考えられています。

宮仕えと家族

赤染衛門はまず、源倫子に仕官し、後に大江匡衡と結婚しました。二人は仲睦まじい夫婦として知られ、互いを尊重し合う関係にありました。彼女たちの夫婦には少なくとも二人の子供が生まれましたが、藤原教通との求愛の話なども残されており、特に夭折した娘については注目が集まっています。

また、赤染衛門は大江匡衡の尾張赴任にも同行し、彼を支える重要な存在としての役割を果たしました。長和元年（1012年）に匡衡が亡くなった後、赤染衛門は信仰心を深め、多くの寺院に参詣するようになりました。これは彼女が良妻賢母としての地位を確立するのに大いに寄与しました。

晩年と歌風

赤染衛門の晩年には、藤原頼通の求めに応じて自らの歌集を献上したことが知られています。彼女の歌風は『古今和歌集』のスタイルを忠実に引き継ぎ、理知的で優美な作品が多く存在します。『拾遺和歌集』などの勅撰和歌集には93首が収められ、その歌は今も多くの人々に親しまれています。

特に彼女が詠んだ「やすらはで寝なましものを小夜ふけて傾くまでの月を見しかな」は、妹に代わって詠んだもので、彼女の思いやりが詰まった一首です。また、母としての強い愛情が表現された「代はらむと 祈る命は をしからで さてもわかれんことぞ悲しき」という歌でも知られています。

歌碑と関連作品

赤染衛門ゆかりの地、愛知県稲沢市には、「赤染衛門歌碑公園」があります。ここでは彼女とその夫・大江匡衡の偉業が刻まれた歌碑が建立されています。赤染衛門は長保3年に尾張守の夫とともにこの地を訪れ、地元の人々と共に彼女の足跡を辿ることができます。

また、赤染衛門を主題とした作品も多数存在し、映画やテレビドラマに登場したり、キャラクター化されるなど、現代においても彼女の存在は色あせることがありません。特に、NHK大河ドラマ『光る君へ』では、その生涯が再現され、さらなる注目を集めることでしょう。

結論

赤染衛門は平安時代における女流歌人の一人として、その優雅な歌風と豊かな感情を通じて後世に大きな影響を与えています。彼女の歌や生涯は今なお多くの文学愛好家によって語り継がれ、研究が行われています。赤染衛門の作品と彼女が示した母と妻としての姿勢は、今日でも人々の心に残り続けています。

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