赤頭巾ちゃん御用心

レイジーの「赤頭巾ちゃん御用心」（あかずきんちゃんごようじん）は、1978年 2月5日にRVC（現：ソニー・ミュージックレーベルズ）からリリースされたシングルで、彼らにとって3枚目の作品であり、初の大ヒット曲となりました。この楽曲は、売上20万枚以上を記録し、オリコンの全国ランキングに初めてランクインするという成功を収めました。アルバム『This is the LAZY』にも収録され、ベストアルバムでも常に取り上げられる代表曲として位置づけられています。

しかし、この曲の誕生には苦悩が伴っていました。前作「カムフラージュ」があまり振るわなかったため、事務所からのプレッシャーが高まり、「このシングルが売れなければ契約打ち切り」という厳しい通告がありました。メンバーたちはこのシングルでの成功を切望しつつも、実際にはアイドルグループとしての活動が続く運命に直面しました。特に高崎と樋口は、ハードロックに戻れる可能性を夢見ていましたが、その期待は裏切られ、むしろ別の方向へ進むこととなりました。

楽曲の振付は、ピンク・レディーの振付師として知られる土居甫によって行われ、カラフルな衣装も盛り込まれました。このビジュアルは、当時の市場で要求されていたテイストを強く反映していますが、メンバーの心にはアイドル的なイメージに対する複雑な感情が芽生えました。彼らは元々ハードロックを志し、スライドロックからアイドルポップへと変貌を余儀なくされたことが、後々の音楽活動に影響を及ぼしています。

再結成後のライブでは「赤頭巾ちゃん御用心」は封印されることになりました。影山ヒロノブは、自身のラジオ番組でこの曲について触れ、「当時の印象が強すぎて、ハードロックバンドとして再結成後には演奏できない」と語っており、高崎もこの曲を演奏しないことを再結成の一つの条件にしていたほどです。1999年のライブでは、「解散ライブまで取っておこう」と冗談交じりに述べたこともありました。

高崎の他にも、生前の樋口がこの曲に対して強い否定的感情を持っていた一方で、影山や井上、田中は現在では、それほどの拒否感を持っていないとされています。特に再結成後のメンバー間の音楽性の違いが浮き彫りになっており、ハードロック嗜好の高崎や樋口に対し、ポップス好きの井上や田中が訴える音楽観が見受けられます。

また、高崎は自らがレコーディングに参加していないことを明かし、「スタジオ・ミュージシャンの技術が優れていたため、自分たちよりも良いパフォーマンスが出来た」と語っています。このことから、プロの厳しさを実感し、シンプルなポップスであるが故の難しさを痛感したと言います。

さらに、2017年の対談において高崎は、「いい曲だけど、あの当時のフレッシュなイメージに戻るのが嫌だ」と発言し、その際に影山は高崎の気持ちに共感を示しました。楽曲そのものは評価しているものの、衣装や振付が彼らにとって過去の「黒歴史」として蘇ってくることが嫌だという、メンバーたちの複雑な心情が伺えます。そうしたことから、この曲はレイジーのメンバーにとってとの間に残る遺恨や悲しみを象徴する作品となりました。

この楽曲は杉山政美による作詞、都倉俊一の作曲・編曲が施されており、後年も数多くのカバーが行われています。特に近年ではOToGi8によるカバーや、テレビアニメ「オオカミさんと七人の仲間たち」のエンディングテーマとしての使用など、多くの場面で再び注目を集めています。このように「赤頭巾ちゃん御用心」は、レイジーにとってのアイドル的活動の象徴であり、同時に過去の苦悩や限界を思い起こさせる一曲であると言えるでしょう。

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