超音波接合

超音波接合（Ultrasonic Welding）

超音波接合は、超音波の振動を用いて異なる材料を接合する革新的な技術です。従来の溶接方法では、電流を流したり加熱することで接合対象の温度を融点近くまで上昇させますが、超音波接合はこれとは異なり、低温で接合を行います。この方法では、振動子によって材料に超音波振動を加え、接合面での摩擦によって不純物を取り除きます。こうして露出した清浄な金属面が、圧力によって塑性変形を起こし、固相状態のままで接合が実現されるのです。

超音波接合の仕組み

接合においては、超音波振動の効果によって、接合面が擦れ合うことで表面の酸化皮膜や吸着ガスなどの不純物が除去されます。このプロセスにより、清潔で活性化された金属面が現れ、圧力が加わることで材料同士がうまく結合します。従来の摩擦攪拌接合と似た特徴がありますが、超音波接合は接合面の表面近くのみを振動させるため、異なる性質を持っています。

特徴

超音波接合の大きな特徴は、固相接合であるため、接合の際に材料が完全に溶融することがない点です。このため、接合温度は母材溶融点の35%から50%程度に抑えられ、材料変性が少なく、また熱の影響を受けるのは局所的な範囲にとどまります。さらに、半田付けのように消耗品が必要ないため、コスト削減にも寄与します。同種の素材同士を接合した場合には、リサイクル時に異種の材料が混入することも防げます。

用途

超音波接合は、特に自動車産業や建築産業において非常に期待されている技術です。高度な信頼性が求められる鉄鋼材料と軽金属の接合が安定して行えるようになれば、これらの産業におけるさらなる発展が見込まれます。また、この技術は金属だけでなく、高分子やセラミック等の異素材間の接合にも対応できるため、適用範囲は広がっています。

結論

このように、超音波接合は、低温での固相接合が可能なため、材料の特性を維持しながら、高効率で高品質な接合が実現できる技術です。今後の工業製品における小型化・軽量化の要求に応える強力なツールとして、多くの分野での普及が期待されているのです。

参考文献

• - 松岡信一, 「セラミックス-金属の超音波接合: その特性と評価」『日本機械学会論文集 C編』 1989年 55巻 517号 p.2481-2486, 日本機械学会, doi:10.1299/kikaic.55.2481
• - 安藤英一, 加川幸雄, 「超音波プラスチック溶着の有限要素シミュレーション」『日本音響学会誌』 1995年 51巻 6号 p.472-479, 日本音響学会, doi:10.20697/jasj.51.6_472

関連項目

• - 超音波半田付
• - ロウ付け
• - スポット溶接
• - 摩擦攪拌接合

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