路地尊

路地尊（ろじそん）について

路地尊は、東京都墨田区に設けられた雨水利用施設であり、主に災害対策の一環として機能しています。この施設は、地域の家屋の屋根に降った雨水を効率的に集め、地下の貯留槽に蓄える仕組みを備えています。集められた雨水は手押しポンプを通じて汲み出され、地域住民の日常生活に利用されています。

施設の仕組み

路地尊では、様々なサイズの貯留槽が設置されており、一般的には3トンまたは9トンの容量があります。この貯留槽に溜められた雨水は、消毒されていないため飲用水としては適していませんが、生活用水として重宝されています。一部の施設、特に3号基が設置されている民有地では、地域の家庭菜園で水源として利用されています。実際の災害時には、近隣で発生した火災に対して住民たちが路地尊から汲み出した水を使って消火活動を行ったこともあるとのことです。

設立の経緯

路地尊は1980年代から1990年代にかけて、墨田区内の様々な場所で整備が行われてきました。これは、行政と地域の住民組織が共同で進めた事業の一環です。当初、この施設は雨水利用を目的に設計されたわけではなく、1987年に完成した初号基は防災用具を収納するための施設として設置されました。この初号基は、江戸時代の天水桶を模した屋根付き掲示板を有し、設けられた場所は地域の防災にも寄与していました。

その後、2号基からは本格的な貯留槽とポンプが整備され、路地尊は雨水利用施設としての役割を確立していきました。今では、この名称には「地域のコミュニティの場であり、災害時には避難路、普段は地域の広場として機能する路地を大切にしていこう」という意味が込められています。

天水尊との関係

路地尊と同様の仕組みで設置されているのが天水尊です。これは、1994年に墨田区出身の徳永暢男によって開発され、全国的に普及しています。天水尊は、雨水の収集とその利用を促進する小規模な施設ですが、路地尊の理念や役割に共通する部分があります。

以上のように、路地尊は地域における重要な水資源の一つであり、生活用水としての利用だけでなく、災害時における非常用水源としても活用されるなど、多面的な役割を果たしています。墨田区の取り組みは地域社会の安全と持続可能な水資源の活用に寄与しており、今後もその重要性は増していくことでしょう。

もう一度検索