跳躍地雷

跳躍地雷

跳躍地雷は、対人地雷の一種であり、敵兵を殺傷するために用いられます。第二次世界大戦中にドイツ軍が使用したS-マインが代表的なものとして知られています。

概要

跳躍地雷は、圧力信管やワイヤーロープに人が触れると作動します。まず、地雷底部のスプリングまたは跳躍用爆薬によって、地雷本体が約1.5mの高さまで跳ね上がります。空中で炸裂し、内蔵された金属球を四方八方に飛散させ、広範囲にいる人間を殺傷します。クレイモア地雷も金属球を飛散させますが、指向性があるのに対し、跳躍地雷は全方向が危険範囲となります。

アメリカ兵は、この跳躍地雷を「Bouncing Betty（跳ねるベティ）」という愛称で呼びました。この呼称は、アメリカ軍以外でも跳躍地雷を指す言葉として用いられています。

歴史

従来の地雷は、地中に埋設して敵に踏ませることで作動させるものでした。しかし、地中に埋設するという特性上、一度に多数の兵士を殺傷するには不向きでした。爆発エネルギーが地面を吹き飛ばすことに浪費されてしまうためです。そこで、榴散弾のように、爆発によって鉄片や鉄球を飛散させ、多数の人間を殺傷するという発想が生まれました。飛散効果を最大限に高めるため、作動すると空中に打ち上げられて炸裂するという機構を持つ地雷が考案されました。

跳躍地雷は、第二次世界大戦前から存在していましたが、構造が大型で複雑なものが多く、設置に手間がかかるため、主に要塞や塹壕線の前面に設置され、国境線防衛の補助兵器として使用されていました。広く用いられる兵器とはなりませんでした。

しかし、第二次世界大戦でドイツ軍が開発・使用したS-マインは、小型で使用法も簡便であり、効果も非常に高かったため、第二次世界大戦後にはS-マインを模倣した同方式の対人地雷が世界中で開発され、広く装備されました。数々の戦争や紛争で使用され、アメリカ軍のM16 APM、M2 APM、イギリス軍のMk.2、イタリア軍のヴァルマラ59およびヴァルマラ69、ソ連軍のOZM-3、ユーゴスラビア連邦軍のProm-1、イスラエル軍のNO12、陸上自衛隊の63式などがあります。

現在では、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」（オタワ条約）によって、使用、開発、生産、貯蔵、保有、移譲が規制されていますが、主要な生産／輸出国で批准している国が少ないため、今も世界中の紛争地帯で使用されています。

各国の跳躍地雷

アメリカ軍：M16 APM、M2 APM
イギリス軍：Mk.2
イタリア軍：ヴァルマラ59、ヴァルマラ69
ソ連軍：OZM-3
ユーゴスラビア連邦軍：Prom-1
イスラエル軍：NO12
陸上自衛隊：63式

関連項目

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