車両系建設機械運転者

車両系建設機械運転者について

車両系建設機械運転者とは、労働安全衛生法によって定められた、特定の車両系建設機械の運転や操作を行うことができる作業者のことを指します。
これらの機械は、建設現場で重要な役割を果たしており、安全な作業のために専門的な知識と技能が求められます。

運転できる車両系建設機械の種類

車両系建設機械は、その用途や機体重量によって、いくつかの区分に分けられます。それぞれの区分に応じて、必要な技能講習や特別教育が異なります。

技能講習が必要な機械

車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）：機体重量が3t以上の全ての機械が対象です。
車両系建設機械（解体用）：機体重量に関わらず、解体作業に使用する全ての機械が対象です。
車両系建設機械（基礎工事用）：機体重量が3t以上の全ての基礎工事用機械が対象です。

特別教育が必要な機械

小型車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）：機体重量が3t未満の機械が対象です。
小型車両系建設機械（解体用）：機体重量が3t未満の解体用機械が対象です。
小型車両系建設機械（基礎工事用）：機体重量が3t未満の基礎工事用機械が対象です。
車両系建設機械（基礎工事用）の作業装置：基礎工事用建設機械で動力を用い、不特定の場所に自走できるものの作業装置の操作（運転者席での操作を除く）が対象です。
車両系建設機械（コンクリート打設用）の作業装置：コンクリート打設用機械の作業装置の操作が対象です。

受講資格

これらの技能講習や特別教育を受講するためには、満18歳以上であることが条件となります。

技能講習について

講習内容

技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関で実施されます。講習内容は、以下の通りです。

学科：機械の構造、取扱い方法、運転に必要な一般的事項、関係法令など、座学で知識を習得します。
実技：実際に機械を操作し、運転技能を習得します。

講習時間

講習時間は、受講者の経験や所有資格によって異なります。特に、車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）、（解体用）、（基礎工事用）のそれぞれの講習において、過去の受講歴や実務経験により、講習時間が短縮される場合があります。

講習時間短縮の例

車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）
車両系建設機械(解体用)技能講習修了者：6時間
建設機械施工技術検定1級又は2級第4種〜第6種合格者：10時間
大型特殊自動車免許所持者など：14時間
車両系建設機械（解体用）
建設機械施工技術検定のうち、ショベル系1級、又は2級第2種合格者：3時間
車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)運転技能講習修了者：5時間
大型特殊自動車免許所持者など：14時間
車両系建設機械（基礎工事用）
移動式クレーン運転士免許所有者：9時間
建設機械施工技術検定1級又は2級第1種〜第5種合格者：21時間
大型特殊自動車免許所持者など：25時間

修了試験

学科と実技の修了試験に合格することで、技能講習修了となります。

特別教育について

講習内容

特別教育は、各事業所または都道府県労働局長登録教習機関で実施されます。学科と実技で構成され、安全衛生特別教育規程で定められた時間以上の履修が必要です。

講習時間

小型車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）：13時間以上
小型車両系建設機械（基礎工事用）：13時間以上
小型車両系建設機械（解体用）：12時間以上
車両系建設機械（コンクリート打設用）の作業装置：12時間以上
車両系建設機械（基礎工事用）の作業装置：9時間以上

講習科目

学科：機械の構造、取扱い方法、運転に必要な一般的事項、関係法令などを学びます。
実技：実際に機械を操作し、安全な作業方法を習得します。

技能講習と特別教育の講習科目詳細

各講習の詳しい科目内容は以下の通りです。

車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）運転技能講習

学科：走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（4時間）、作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（5時間）、運転に必要な一般的事項に関する知識（3時間）、関係法令（1時間）
実技：走行の操作（20時間）、作業のための装置の操作（5時間）

車両系建設機械（解体用）運転技能講習

学科：走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（4時間）、作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（5時間）、運転に必要な一般的事項に関する知識（3時間）、関係法令（1時間）
実技：走行の操作（20時間）、作業のための装置の操作（4時間）

車両系建設機械（基礎工事用）運転技能講習

学科：走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（4時間）、作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（6時間）、運転に必要な一般的事項に関する知識（3時間）、関係法令（1時間）
実技：走行の操作（10時間）、作業のための装置の操作及び合図（15時間）

小型車両系建設機械（整地・運搬・積込み用及び掘削用）の運転の業務に係る特別教育

学科：小型車両系建設機械の走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（3時間）、小型車両系建設機械の作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（2時間）、小型車両系建設機械の運転に必要な一般的事項に関する知識（1時間）、関係法令（1時間）
実技：小型車両系建設機械の走行の操作（4時間）、小型車両系建設機械の作業のための装置の操作（2時間）

小型車両系建設機械（解体用）の運転の業務に係る特別教育

学科：小型車両系建設機械の走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（2時間）、小型車両系建設機械の作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（2時間）、小型車両系建設機械の運転に必要な一般的事項に関する知識（1時間）、関係法令（1時間）
実技：小型車両系建設機械の走行の操作（4時間）、小型車両系建設機械の作業のための装置の操作及び合図（2時間）

小型車両系建設機械（基礎工事用）の運転の業務に係る特別教育

学科：小型車両系建設機械の走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識（2時間）、小型車両系建設機械の作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識（3時間）、小型車両系建設機械の運転に必要な一般的事項に関する知識（1時間）、関係法令（1時間）
実技：小型車両系建設機械の走行の操作（3時間）、小型車両系建設機械の作業のための装置の操作及び合図（3時間）

車両系建設機械（基礎工事用）作業装置の操作の業務に係る特別教育

学科：車両系建設機械（基礎工事用）の作業装置に関する知識（3時間）、車両系建設機械（基礎工事用）の作業装置の操作のために必要な一般的事項に関する知識（1時間）、関係法令（1時間）
実技：車両系建設機械（基礎工事用）の作業装置の操作（3時間）、車両系建設機械（基礎工事用）の運転のための合図（1時間）

車両系建設機械（コンクリート打設用）作業装置の操作の業務に係る特別教育

学科：車両系建設機械（コンクリート打設用）の作業装置に関する知識（4時間）、車両系建設機械（コンクリート打設用）の作業装置の操作のために必要な一般的事項に関する知識（2時間）、関係法令（1時間）
実技：車両系建設機械（コンクリート打設用）の作業装置の操作（4時間）、車両系建設機械（コンクリート打設用）の運転のための合図（1時間）

注釈

コンクリート圧砕機、つかみ機、鉄骨切断機は、以前は車両系建設機械に該当しませんでしたが、現在は車両系建設機械（解体用）の対象となっています。そのため、従来の（解体用）資格所持者も、猶予期間である平成27年4月までに講習を受講する必要がありました。

関連情報

労働安全衛生法による免許証
労働安全衛生法による技能講習修了証明書

外部リンク

建設業労働災害防止協会

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