車山気象レーダー観測所

車山気象レーダー観測所

車山気象レーダー観測所は、長野県茅野市にある車山山頂付近に設置された、気象庁が所管する重要な気象観測施設です。一般的には「長野レーダー」という通称で知られており、観測所としての地点名は「長野」とされています。

設置背景と役割

この観測所は、長年にわたり日本の気象観測の中核を担ってきた富士山レーダーが老朽化したこと、そして気象衛星の技術発展により、必ずしも富士山頂にレーダーを維持する必要性が薄れたことを背景に計画されました。富士山レーダーの機能を代替する施設として、静岡県菊川市に設けられた牧之原気象レーダー観測所（静岡レーダー）と共に整備されたものです。

車山気象レーダー観測所は、常時無人での運用が行われており、東京管区気象台の管轄下にある長野地方気象台から遠隔で制御および監視が行われています。これにより、人手を介さずに安定した観測データを提供し続けています。

施設の特徴

車山気象レーダー観測所のアンテナが設置されている地点は、海抜高度1,937.1メートルに位置しています。これは、現在運用されている気象庁の気象レーダーとしては、日本国内で最も高い標高に設置されている施設となります。アンテナ自体の地上高は12.4メートルです。使用されている周波数は5320.0MHzで、気象現象の観測に適した帯域を利用しています。

観測施設の建物上部には、巨大な球形のドームが特徴的です。このドームは「レドーム」と呼ばれ、内部には直径4メートルの大型パラボラアンテナが収められています。このアンテナが回転することで、広範囲の雨や雪などの気象現象を詳細に捉え、リアルタイムでの気象情報提供に貢献しています。

歴史

車山気象レーダー観測所は、1999年（平成11年）11月1日午前10時に正式に運用を開始しました。富士山レーダーの歴史的な役割を引き継ぎ、中部山岳地帯を中心とした広範囲の気象監視をスタートさせました。

その後、気象観測技術の進歩に伴い、レーダー機能の更新が行われました。2012年（平成24年）11月15日15時には、ドップラー・レーダー化のための更新工事が完了し、新たな運用が開始されました。ドップラー・レーダー機能の追加により、降水の有無や強弱だけでなく、雨滴や雪片の移動速度、すなわち風の方向や強さも観測することが可能となり、突風や竜巻といったより危険な気象現象の監視能力が向上しました。

周辺施設

観測所の周辺には、スキー場として知られる車山高原スキー場や、山頂付近に位置する車山神社などがあります。観測所の存在は、これらの地域からも認識されるシンボルの一つとなっています。

長野地方気象台のウェブサイトでは、このレーダーに関する詳しい情報が公開されており、その役割や機能について学ぶことができます。また、過去にはドップラーレーダー化に関する報道もなされるなど、地域の気象監視において重要な存在であり続けています。

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