車谷暢昭

車谷暢昭：日本の金融界と産業再生をリードした実業家

車谷暢昭氏は、1957年愛媛県新居浜市生まれの日本の銀行家、実業家です。東京大学経済学部卒業後、三井銀行に入行。その後、大蔵省への出向や、政財界に影響力を持つ人物の秘書などを経て、幅広い経験を積みました。

三井住友銀行での活躍

三井銀行（のちの三井住友銀行）では、バブル崩壊後の金融危機対応の中枢を担いました。不良債権処理、成長戦略立案、そして、いち早くインターネット技術に着目し、日本初のインターネット専業銀行のビジネスモデルやコンビニATMバンキングモデルを開発するなど、先駆的な役割を果たしました。緊急増資の取りまとめや政府による公的資金注入への道筋付けなど、経営危機からの回復に大きく貢献し、さくら銀行の株式時価総額を倍増させました。

旧住友銀行との合併交渉や、経営危機にあった三井生命の再建支援、リーマンショック時の流動性危機対応など、数々の困難な課題に直面しながらも、その卓越したリーダーシップで銀行を導きました。日興証券の買収など、大型案件も数多く手がけています。

2015年には、三井住友フィナンシャルグループ副社長兼三井住友銀行副頭取に就任し、投資銀行部門や証券事業を統括しました。三井住友銀行での長年の功績は、日本の金融界に大きな足跡を残しました。

東芝再生への挑戦

2018年、経営危機にあった東芝の代表執行役会長兼CEOに就任。就任当時、東芝は債務超過、アクティビストによる議決権掌握など、極めて厳しい状況にありました。車谷氏は、大胆な経営改革に着手しました。

まず、経営理念の改定、中期経営計画「東芝ネクストプラン」の策定を行い、企業ビジョンを示しました。大規模な自社株買いによる株主還元、潜在リスクを抱えるLNG契約の売却など、旧経営陣の負の遺産処理にも取り組みました。さらに、営業利益率が低い事業の見直し、ビジネスプロセス改革を徹底的に推進し、クロスファンクショナルチームを組織することで全社を挙げた改革を成功させました。

その結果、2020年度には無借金経営を実現、営業利益は前年度比4倍に急回復しました。不正会計問題による2部指定銘柄からの東証一部復帰も達成しました。2021年4月、3年間の任期を終え、東芝を再生へと導いた車谷氏はCEOを退任しました。

その他活動

CVC キャピタル・パートナーズ代表取締役会長兼共同代表、シャープ社外取締役などを歴任するなど、幅広い分野で活躍しました。

現在も、複数の企業の顧問を務め、日本の経済界に貢献し続けています。また、ミュージックマスターコースジャパン会長として、若手音楽家の育成にも力を入れています。

まとめ

車谷暢昭氏は、金融危機への対応、企業再生、大胆な経営改革など、日本の経済界において数々の重要な役割を担ってきました。そのリーダーシップと決断力は、常に日本の経済発展に貢献してきました。彼の経験と実績は、今後の日本の経済界にとっても貴重な財産となるでしょう。

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