車軸発電機

車軸発電機とは

車軸発電機は、主に機関車に牽引される客車や貨車に搭載される発電装置です。これらの車両は、自力で走行するための動力を持たないため、走行に必要な電力は外部から供給されます。しかし、車内の照明、扇風機、後部標識灯、放送用機器などの電力を確保する必要があります。そこで、車軸発電機が重要な役割を果たします。

発電の仕組み

車軸発電機は、列車が走行する際に車軸が回転する力を利用して発電を行います。具体的には、車軸の回転力をプーリーとベルト、またはギアとユニバーサルジョイントを介して発電機に伝達します。これにより、必要な電力が生成されます。列車の速度は一定ではなく、走行と停止を繰り返すため、発電された電力は蓄電池と組み合わせて使用され、安定した電力供給が確保されます。

構造と特徴

旧型の客車では、発電機は台車付近の台枠に懸架されていますが、50系などの新型客車では台車に直接取り付けられています。これは、より安定した発電を可能にするための改良です。動力の伝達方式には、主にプーリーとベルトが用いられます。しかし、寒冷地ではベルトが凍結するリスクがあるため、北海道、北欧、ロシア、サハリンなどでは、軸箱に取り付けられたギアとユニバーサルジョイントを介したシャフトドライブ方式が採用されています。

電力供給の用途

車軸発電機によって供給される電力は、主に車内の照明、扇風機、放送用機器などの動作に利用されます。一方、電気暖房に必要な電力は、車軸発電機では賄いきれないため、電気機関車から供給されます。特急用客車の中には、20系、14系、24系のように、固定編成中に冷暖房用のディーゼル発電機を搭載している車両があり、これらの車両では照明や放送用電源もディーゼル発電機で賄うため、車軸発電機は搭載されていません。

急行用客車の場合

急行用として用いられる12系客車には、冷暖房用のディーゼル発電機が搭載されていますが、客室窓の開閉による室温調整や換気が可能なため、時期によっては冷暖房を使用する必要がない場合があります。そのため、12系客車には車軸発電機と蓄電池が別途搭載されており、照明や放送用機器の電源を車軸発電機から供給しています。ただし、14系客車との併結改造を行った車両や、全ての電源を電気機関車の電気暖房電源で賄う2000番台では、車軸発電機は撤去されています。

まとめ

車軸発電機は、列車の走行を支える重要な装置です。車軸の回転力を利用して電力を生成し、客車や貨車の快適な利用を可能にしています。技術の進歩とともに、より効率的で信頼性の高い発電システムが求められており、今後の発展が期待されます。

脚注

速度発電機: 速度に応じて発電量が変化する発電機。
接地器: 電気回路を地面に接続するための装置。

関連項目

鉄道車両
発電機
* 蓄電池

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