軍事研究 (雑誌)

軍事研究について

『軍事研究』（ぐんじけんきゅう）は、ジャパン・ミリタリー・レビューが発行する月刊の軍事情報誌で、1966年4月に創刊されました。雑誌は日本および国際分野における軍事や政治、経済に関する多様な記事や論文を提供しています。また、1973年から1979年にかけては「戦争のあらゆる要因を追求して人類恒久の平和を確立する」というスローガンが表紙に掲げられていました。

創刊の目的

創刊当初、軍事雑誌はメカや戦記ものが中心で、真剣に防衛政策を論じる内容が不足していることが創刊の目的の一つでした。創刊者は小名孝雄で、彼は後に『北方ジャーナル』の設立にも関与しました。『軍事研究』は、初めは国防政策や安保論に焦点を当てていましたが、次第に国際的な軍事情勢を見据えた解説へと方向転換していきました。

編集方針

2001年当時の編集長、横田博之は、同誌の編集における思想を「日本が先進国としての地位を維持するためには、軍事と経済、外交のバランスを取って考える必要がある」と示しました。彼はまた、軍は単なる命令に従う集団ではなく、良好な人間関係が強い軍を形成すると強調しました。この視点から、自衛隊の法整備及び国民的合意の重要性を主張しつつ、政策論に関する編集方針を打ち出しました。

読者層と執筆陣

『軍事研究』の読者は、若い軍事マニアから防衛庁や自衛隊の関係者、マスコミまで多岐にわたります。また、執筆陣も元自衛官や制服OB、雑誌出身のライターが多く、知識の深さが伺えます。

売れ行きと評価

湾岸戦争の影響で、当誌の関心は高まり、売り切れ続出となりました。過去には「要を得た情勢分析」として評価された論文もあり、特に水島朝穂による防衛官僚の人事異動に焦点を当てた「市ヶ谷レーダーサイト」の分析は、その詳しさが評価されています。さらに、福島第一原子力発電所事故に際しても、自衛隊の能力についての見解が他メディアに引用されるなど、専門誌としての信頼性も高いとされています。

論争と問題点

一方で、『軍事研究』は過去に数回の論争に巻き込まれています。1966年には防衛官僚を中傷する記事を掲載し、名誉毀損の容疑で創刊者が逮捕される事件がありました。また、1970年には防衛大学校の意識調査結果を実名で公表し、学生からの抗議を受け、国会の関心を引く事態となりました。こうした事例から、編集方針の厳格さも求められています。

記事執筆者

多くの著名な執筆者が関与しており、横田博之が長期にわたり編集長を務めたほか、現在も様々な専門性を持つライターが寄稿しています。

『軍事研究』は、軍事問題に対する真剣な考察を提供する一方で、その内容は多くの議論や評価を呼んでいる、日本において重要な役割を果たす雑誌となっています。

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