軽快電車

軽快電車（けいかいでんしゃ）

日本船舶振興会の支援を受けて開発された軽快電車は、20年もの間存在しなかった路面電車の技術を復活させ、省エネルギーを目指した画期的な公共交通機関の一つです。日本鉄道技術協会が中心となり、1978年にスタートしたこのプロジェクトでは、運輸省や専⾨家、鉄道事業者、さらにメーカーの代表者が集まり、多様な技術の開発が行われました。

開発前夜

軽快電車の開発は、1977年に東京都電7000形の車体更新から始まります。この車両は従来技術による新製車両でしたが、前面一枚窓のデザインが注目を集め、軽快電車の出現に影響を与えました。この時期、日本はモータリゼーションの波によって路面電車の新造がほぼ途絶えており、その結果、技術革新が停滞していました。特に、1970年代後半には、先進国と比較して日本の路面電車は劣位に立たされることとなり、新しい車両の開発が急務となりました。

軽快電車の開発プロセス

こうした問題に対処するため、新たな高性能路面電車を完全に新規設計することが判断されました。開発委員会が設置され、様々な要素技術を持つ企業が協力して、車両と機器を開発していきました。1980年には、広島電鉄3500形3車体連接車と、長崎電気軌道2000形が完成し、新たな技術が試験されました。

開発されたシステム

軽快電車の設計には、多数の著名な企業が参加しました。川崎重工業の工場で製造・組み立てが行われ、直流複巻式電動機や回生ブレーキ、油圧キャリパー式ディスクブレーキなど、最新技術が搭載されています。また、車両の快適性を向上させるために、冷暖房が可能なヒートポンプ式空調装置や、騒音を軽減する防音車輪も採用されました。

人間工学に基づいて、運転士の働きやすさにも配慮され、ワンハンドルマスコンが採用されています。このように、軽快電車の開発には、先進的なアイデアと技術が取り入れられ、路面電車の新たなスタンダードを築くことを目指しました。

軽快電車の影響とその後

軽快電車の成果は、日本のほぼ全ての路面電車における新たな車両設計に影響を与えています。1980年代には、岡山電気軌道7000形が登場し、この車両を皮切りに、軽快電車の影響を受けた様々な新造車両が続々と登場しました。その後も、軽快電車で開発されたチョッパ制御システムが広島電鉄800形に、車両構造が初めてのVVVF車両に受け継がれました。

このように、軽快電車は日本の路面電車の復権に寄与しただけでなく、その後の技術革新や新しいデザインの方向性を提案する重要な役割を果たしました。今後もこの流れが続くことが期待されています。

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