農工銀行

農工銀行について

農工銀行は、1896年に制定された農工銀行法に基づいて設立された特殊銀行で、主に農業および工業の発展を目的とした金融機関です。この銀行は、日本勧業銀行の設立の際に創設され、その後は勧銀の傘下で機能し続けました。農工銀行は1900年に設立され、各府県に一行ずつ存在し、特に徳島県に阿波農工銀行が設立されたことで、ほぼ全国にその存在が広がりました。

設立背景と目的

農工銀行が設立された理由は、農業や工業に対する長期的な融資を行い、業界の発展を促進することでした。この目的に沿って、農工銀行は日本勧業銀行への融資の仲介業務や、同等の金融業務を行い、実質的に勧業銀行の子会社的な立場にありました。農工業者への融資は、長期年賦の元利返済が可能で、一般的に農工業者にとって有利な条件が整えられていました。

融資制度の変遷

始めは、貸付の担保となる不動産の査定が非常に厳格で、必要な融資額が十分に得られないことが問題視されました。さらに、申し込みから融資実施までの待機期間が長く、業者には不満が残っていました。しかし、1911年に農工銀行法が改正され、不動産担保に対する規制が緩和されることで、農工業資金以外にも貸付が可能になり、都市部の不動産を担保とした貸し付けも行えるようになりました。この改正は、農工銀行がより柔軟に融資を行える環境を作る一助となりました。

合併とその後

1921年には、日本勧業銀行及農工銀行ノ合併ニ関スル法律が制定され、農工銀行は勧業銀行との合併に向けた動きが進行しました。初めは佐賀県農工銀行が勧業銀行に吸収合併され、その後1944年までに国内のすべての農工銀行が勧業銀行に統合されていきました。なお、一部の農工銀行は合併前に経営破綻してしまっており、これらは勧業銀行が新たに支店を設置して事業を継承する形で処理されたケースも見られます。

現在、みずほ銀行がその後身とされています。同銀行は北海道を除く全府県に存在した農工銀行の一つをルーツに持ち、そのため全国的に店舗が広がっています。合併の過程で、旧第一店や旧富士店への併合なども行われ、一部の店舗は他の金融機関に売却されたりしているものの、依然として農工銀行の歴史は日本の金融史において重要な位置を占めています。

まとめ

農工銀行は日本の農業や工業の資金調達を支える重要な役割を果たしていましたが、合併を経て現存する金融機関にその遺産が引き継がれています。今後もその影響は金融業界において色濃く残るでしょう。

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