辻慎吾

辻󠄀 慎吾（つじ しんご）

1960年9月9日生まれ、日本の実業家。

森ビル株式会社の代表取締役社長として、革新的な都市開発や街づくり事業を牽引している。また、不動産協会の副理事長も務め、日本の不動産業界における重要な役割を担っている。

広島県広島市で生を受けた辻󠄀氏は、幼少期を父親が防衛省関係の職務に就いていた影響で、佐世保や舞鶴といった西日本の港湾都市で過ごした。神奈川県立光陵高等学校を卒業後、横浜国立大学工学部へと進学。さらに同大学大学院工学研究科にて建築と都市計画を専門に学び、1985年にその課程を修了した。

大学院修了と同年に森ビル株式会社に入社。都市開発の最前線でキャリアを重ねる。2001年にはタウンマネジメント準備室の担当部長として、後に同社の主要なビジネスモデルとなる概念の創出に関わる。2006年には取締役となり、大規模複合施設である六本木ヒルズの運営室長を務めると同時に、タウンマネジメント事業室長も兼務。街全体の活性化と運営に深く携わった。2009年には副社長に就任し、新設された経営企画室の室長として、企業戦略の中枢を担った。

そして2011年、森ビル株式会社の代表取締役社長に昇進。社長就任発表の記者会見において、当時の会長であった森稔氏から、「タウンマネジメントという、まったく新しいビジネスモデルを確立した」人物として高く評価され紹介された。社長として、森稔氏が掲げた「ヴァーティカルガーデンシティ（立体緑園都市）」に代表される都市づくりの哲学を継承し、虎ノ門ヒルズをはじめとする数々の大規模プロジェクトを強力に推進している。

長年の建設事業における功績が認められ、2018年には田中俊和氏や畑中誠氏らとともに建設事業関係功労者等として国土交通大臣表彰を受章。さらに、2019年には公共の利益に貢献した功績により藍綬褒章を受章している。同年、母校である横浜国立大学の経営協議会委員に就任し、教育分野への貢献も行う。2021年からは不動産協会の副理事長として、業界全体の発展と政策提言にも力を入れている。

実業家としての活動は多岐にわたり、2024年8月8日放送のテレビ東京系列「日経スペシャル カンブリア宮殿」では、森ビルの社長として出演し、その独特な街づくり哲学や都市への取り組みについて語った。都市と人々の新たな関係を築き上げる「タウンマネジメント」の考え方を深く理解し、実践してきた人物として、日本の都市開発史において重要な足跡を残している。

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