辻野晃一郎

辻野 晃一郎（つじの こういちろう）

日本の技術者、実業家として知られる辻野晃一郎氏は、ソニー株式会社、Google日本法人での要職を歴任し、その後自ら事業を興した多角的なキャリアの持ち主です。現在はアレックス株式会社の代表取締役社長兼CEOを務めています。

生い立ちと学歴

1957年7月10日、福岡県八幡市（現在の北九州市）に生まれ、幼少期をこの地で過ごしました。父は三菱化成の顧問を務めた辻野坦氏、母方の祖父は新出光創業者である出光弘氏という、実業界にゆかりのある家系に育ちました。出光佐三氏、出光計助氏らを大伯父・大叔父に持ち、新出光創業家との深いつながりがあります。

学歴は、新潟大学教育学部附属高田小学校、同附属高田中学校を経て、東京学芸大学教育学部附属小金井中学校、同附属高等学校へと進学。慶應義塾大学工学部を卒業後、1984年には同大学大学院工学研究科修士課程を修了し、工学士および工学修士の学位を取得しています。さらに、1988年にはアメリカのカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了し、技術者としての専門性を深めました。

ソニーでのキャリア

大学院修了後の1984年4月、ソニー株式会社に入社。技術者としてのキャリアをスタートさせました。ソニー時代には、VAIOデスクトップコンピューター部の統括部長（1997年9月）、ネットワークターミナルソリューションズカンパニーのプレジデント（2001年4月）、ホームストレージカンパニーのプレジデント（2003年4月）、コネクトカンパニーのコ・プレジデント（2004年11月）など、エレクトロニクス関連の様々な事業部門で責任あるポジションを歴任しました。長年にわたりソニーの主要事業を牽引し、豊富な経験と実績を積んだ後、2006年3月に同社を退社しました。

Google日本法人社長として

ソニー退社後、2007年4月にGoogleに入社。そして、2009年1月にはGoogle日本法人の代表取締役社長に就任しました。当時のGoogleは日本市場での存在感をさらに高めようとしており、辻野氏はその戦略を牽引する立場となりました。しかし、社長就任から約1年後の2010年4月にはGoogleを退社するという、比較的短い在任期間でした。

起業家としての活動

Google退社後、辻野氏は自らの事業を立ち上げることを決意し、2010年10月にアレックス株式会社を設立しました。同社では代表取締役社長兼CEOを務めています。アレックス株式会社は、日本の優れたモノやヒトを発掘し、国内外に紹介するプラットフォーム事業を展開しており、2011年6月には「ALEXCIOUS（アレクシャス）」、2012年9月にはグローバルクラウドファンディングサイト「COUNTDOWN（カウントダウン）」をオープンさせました。

また、実業家としての活動に加え、2012年4月から2017年3月まで早稲田大学商学学術院客員教授を務めるなど、教育・研究分野にも貢献しています。

著書活動

自身の経験やビジネス哲学について多くの著書を発表しています。

『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』（新潮社、新潮文庫）
『成功体験はいらない』（PHPビジネス新書）
『リーダーになる勇気』（日本実業出版社）
『「出る杭」は伸ばせ！なぜ日本からグーグルは生まれないのか？』（文藝春秋）
* 『日本再興のカギを握る「ソニーのDNA」』（講談社）

これらの著書を通じて、日本企業の課題やあるべきリーダーシップ、自身のキャリア観について積極的に発信しています。ソニー、Google、そして自身の起業という異なる環境での経験は、多くのビジネスパーソンに示唆を与えています。

辻野晃一郎氏は、技術者としてのバックグラウンドを持ちながら、大手グローバル企業での経営経験、そして自らの事業を創り出す起業家精神を併せ持つ、日本の実業界においてユニークな存在と言えるでしょう。

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