追想五断章

『追想五断章』

著者: 米澤穂信
発表: 『小説すばる』（集英社）2008年6月号から12月号に連載、2009年8月30日刊行。
文庫化: 集英社文庫（2012年4月25日）

概要

『追想五断章』は、日本の推理小説作家・米澤穂信による作品であり、ミステリーの醍醐味を存分に味わえる連作短編集です。この作品は、第63回日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門の候補作に選出され、2010年の「このミステリーがすごい！」や「本格ミステリ・ベスト10」のランキングでも上位に位置付けられました。
著者は、これまで学園ものや中高生が主人公の作品が中心だったのに対し、年齢層を上げた内容を期待されていたとのこと。また、連載開始時に「渋い話を」との要望を受けて新たな方向性が生まれることとなりました。

ストーリー

物語は、古書店でアルバイトをする大学生・菅生芳光を主人公に進行します。彼が働く古書店に訪れた女性・北里可南子から、彼女の亡き父が遺したリドル・ストーリーの結末を探して欲しいと依頼されます。報酬に魅力を感じた芳光は、この挑戦を引き受けることにします。しかし、調査を進める中で彼は22年前に発生した「アントワープの銃声」と呼ばれる未解決事件の存在を知ることになります。

登場人物

• - 菅生芳光（すごう よしみつ）: 大学生で、学費のために休学中。伯父の営む古書店に住み込みでアルバイトをしている。
• - 北里可南子（きたざと かなこ）: 小説を探しに松本市から訪れた女性。彼女の父は未解決事件の被疑者となっている。
• - 久瀬笙子（くぜ しょうこ）: 大学生で、就職活動と卒業論文の合間に古書店でアルバイトしている。
• - 菅生広一郎（すごう こういちろう）: 芳光の伯父で、「菅生書店」の店主。
• - 菅生花枝（すごう はなえ）: 芳光の母。夫の死後、一人で暮らしている。
• - 北里参吾（きたざと さんご）: 可南子の父で、未解決事件の被疑者だった。
• - 北里斗満子（きたざと とまこ）: 可南子の母。ベルギーで不審な死を遂げた。
• - 市橋尚造（いちはし しょうぞう）: 大学教授で、芳光に事件の詳細を教える。
• - 宮内正一（みやうち しょういち）: 参吾の大学時代の友人で、句会の主宰者。
• - 弦巻彰男（つるまき あきお）: 記者で、斗満子の死を取材し「アントワープの銃声」と名付けた。

『追想五断章』は、複雑な人間関係や未解決事件が展開する中で、人生の悲劇や人間の深層を見つめる作品です。ミステリー好きにはたまらない、推理と人間ドラマが交錯する作品です。

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