通 (南部藩)

通制とその歴史的背景

通制（とおりせい）は、藩政における地方支配の仕組みであり、特に盛岡藩と八戸藩において採用されていました。最初は単に地方や方面を指す言葉でしたが、1681年から1683年の天和年間において、代官所の統治区域を示す用語として発展しました。通制はその名の通り、行政管理を円滑に行うために必要な区分でした。

盛岡藩の行政組織

盛岡藩の統治においては、寛文5年に八戸藩が分立される際に、浜通、長苗代、久慈、軽米、志和の5つの代官区が八戸藩に譲渡されました。これに伴い、その他の代官区は33区に再編成され、地域毎に多少の調整が行われることとなりました。また、盛岡藩では代官区のまとめによって、特定の地域を分かりやすく管理し、藩庫の出納作業を効率化しました。

各地区に設置された代官所には、上田通、厨川通、見前通、向中野通、飯岡通などが含まれ、多くの代官所が存在しました。郡山と花巻にも独自の代官所が設置され、各地方の特性に応じた支配が行われていました。

八戸藩の構成

一方、八戸藩も盛岡藩に倣い、同様の通制を導入しました。ここでは勘定頭が代官を指導し、民政を担当していました。各区域では、通常2名の代官が配置されましたが、志和地域においては特別に4名に増員されるという柔軟な対応が見られました。

地方官吏の減少と代官所の再編成

享保20年（1735年）には、財政の悪化を受けて地方官吏の人員削減が求められ、代官所も25か所に整理されることとなりました。領内は33通に分けられ、一通に対して一つの代官所が原則とされましたが、資金的な問題がある中で効率的な統治を目指す過程であったことが伺えます。

具体的には、上田通、厨川通、飯岡通、向中野通、徳田通など、各地にそれぞれの通に基づいた代官所が設置されていました。また、遠野通に関しては、南部遠野氏が代として統治を行い、市中において町奉行や検断を設けるなどの独自の運営がありました。

結論

通制は、盛岡藩と八戸藩における分権的で効率的な行政運営を実現するための重要な制度でした。この制度によって、地域住民に対する支配が明確になり、行政の整備が進められたのです。通制は当時の藩における地方支配の在り方を示す重要な要素として、また現在の行政の根底にある仕組みとしての意義も見逃せません。

参考文献

• - 青森県史編さん近世部会『青森県史 資料編 近世篇 4 南部１ 盛岡藩』
• - 青森県史編さん近世部会『青森県史 資料編 近世篇 5 南部２ 八戸藩』
• - 『岩手県史 第三巻 中世篇 下』
• - 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 2 青森県』『角川日本地名大辞典 3 岩手県』
• - 地方史研究協議会『地方史事典』

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