通りぬけフープ

通りぬけフープ：壁をすり抜ける魔法のフープ

『ドラえもん』に登場するひみつ道具「通りぬけフープ」は、黄色いフラフープ型をした不思議なアイテムです。壁に貼り付けると、内蔵された装置から特殊な電波が発生。壁の原子を振動させることで、その壁に穴を開け、フープを通して反対側に移動できるようになります。まるで壁をすり抜ける魔法のようです。

機能と仕組み

通りぬけフープは、空間原子分解装置を搭載しています。この装置から発せられる電波が、壁の原子構造を一時的に変化させ、通り抜け可能な空間を生成します。フープを通過した後、反対側にもフープが現れ、それを取り外すと壁は元の状態に戻ります。まるで瞬間移動の道具のようですが、実際は壁を通り抜けるという、独特の移動方法が特徴です。

様々な作品での活躍

通りぬけフープは、『ドラえもん』シリーズの様々な作品で活躍しています。映画作品では、タケコプターやどこでもドアに次ぐ登場頻度を誇り、物語に重要な役割を果たす場面が多く見られます。

例えば、『のび太の日本誕生』では、時間犯罪者ギガゾンビが通りぬけフープの通路を歪ませ、出口を意のままに操作するなど、物語の重要な鍵として機能しています。また、『のび太の宝島』では、22世紀に存在しない物質は通り抜けられないという設定が明かされ、科学的な側面も垣間見ることができます。

さらに、『2112年 ドラえもん誕生』では、未来のドラえもんたちが「どこでもドア」を使用する中、主人公のドラえもんは通りぬけフープを使用し、思わぬハプニングを招きます。また、『ザ☆ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』では、大人数でも通過可能な超大型サイズ「通りぬけフープLLサイズ」が登場し、物語を盛り上げています。

初登場と名称変更

通りぬけフープは、『小学一年生』1974年2月号掲載の短編「ぬけあなフープ」で初登場しました。しかし、単行本収録時に作品名と道具名が「通りぬけフープ」に変更されています。この変更によって、より分かりやすく親しみやすい名称になったと言えるでしょう。

類似道具との比較：ぬけ穴フープ

通りぬけフープとよく似た道具に「ぬけ穴フープ」があります。こちらは『のび太とブリキの迷宮』に登場し、見た目や機能が異なる点があります。通りぬけフープが単純に反対側に抜けるのに対し、ぬけ穴フープは穴が曲がって伸びるため、地下から地上へ、あるいは建物の外から中へと、より複雑な経路を通ることができます。通りぬけフープが白く細長いのに対し、ぬけ穴フープは色付きで太く、刻みが入っているなど、デザインにも違いが見られます。映画版では、通りぬけフープが使用されている場面もあります。

通りぬけフープLLサイズ

『ザ☆ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』に登場する「通りぬけフープLLサイズ」は、その名の通り、通常の通りぬけフープをはるかに超える巨大なサイズです。通常のものは2人が通れるかどうかの大きさですが、LLサイズはドラえもんズとドラパンの8人が同時に余裕で通り抜けられるほどです。さらに、通常のフープが比較的硬いのに対し、LLサイズは驚くほど柔らかく、縄のような感触を持つという、意外な特徴も持っています。

まとめ

通りぬけフープは、その単純ながらも想像力を掻き立てる機能と、数々の作品での活躍によって、ドラえもんの世界観を象徴するひみつ道具の一つと言えるでしょう。様々なバリエーションや類似道具の存在も、この道具の魅力をさらに深めています。

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