速水真澄

速水真澄：仮面に隠された愛と葛藤

速水真澄は、漫画『ガラスの仮面』に登場する、大都芸能の社長。容姿端麗、頭脳明晰な彼は、冷徹な辣腕経営者として知られています。しかし、その内面には、複雑な過去と葛藤が隠されています。

生い立ちと復讐心

速水真澄は、幼少期に実父を事故で亡くし、母親が速水家の家政婦となったことがきっかけで、速水英介の養子となります。後継者として帝王学を叩き込まれますが、愛情を注がれることはありませんでした。誘拐事件の際に父に見捨てられたり、火事の際に母よりも『紅天女』の道具を優先する父の姿を見て、彼は父への復讐心を募らせていきます。『紅天女』を守って亡くなった母の死をきっかけに、父が築き上げた会社と、何よりも大切にしている『紅天女』を奪い取ろうと決意します。

冷酷な仮面

復讐を誓った彼は、感情を仮面の下に封印し、冷酷な性格を装います。会社のためには手段を選ばず、他人を陥れることも厭いません。『紅天女』の上演権を巡り、月影千草や劇団つきかげに嫌がらせを繰り返したことで、北島マヤから激しい嫌悪感を抱かれることになります。

北島マヤとの出会い

マヤとの出会いは、『椿姫』の舞台観劇でした。苦境の中でも明るく生きるマヤに、真澄は心を惹かれていきます。劇団つきかげの評判を下げるために評論家を連れて行った『若草物語』で、発熱しながらも情熱的に演技するマヤの姿に衝撃を受け、匿名で紫のバラを贈ります。マヤは贈り主を「紫のバラの人」と呼び、感謝しますが、真澄が嫌がらせをしていることを知ると、激しく憎むようになります。

「紫のバラの人」

嫌われながらも、真澄は「紫のバラの人」としてマヤを陰ながら支え続けます。月影の入院費用を負担したり、マヤを高校に通わせたりと、支援を続けます。秘書である水城冴子からマヤへの愛情を指摘されますが、年齢差や自身の過去から、その思いを認めることができません。

葛藤と決意

マヤを大都芸能に所属させ、スターダムに押し上げようとしますが、結果的にマヤの母を死に追いやることになり、自責の念に駆られます。芸能界を追放されたマヤの復帰を画策し、陰日向に援助を続けます。しかし、英介から鷹宮紫織との縁談を命じられ、苦悩します。マヤに憎まれていると思い込んでいた真澄は、思いを封印しようと婚約しますが、紫のバラに紫織が言及しただけで激しく動揺するなど、マヤへの思いを断ち切ることができません。紫織との結婚を再び承諾してしまいますが、聖の説得を受けて自分の気持ちに正直に生きることを決意。「速水英介の息子」という立場を捨て、マヤと向き合うために伊豆の別荘へと向かいます。

速水真澄は、冷酷な経営者としての仮面の下に、愛と葛藤を抱えた複雑な人物です。北島マヤとの出会いを通して、彼はどのように変化していくのでしょうか。

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