造形学科

造形学科とは

大学に設けられている専門学科の一つであり、主に造形美術や造形表現に関する教育と研究を専門的に行うことを目的としています。これらの学科は、多くの場合、美術学部、芸術学部、あるいは造形学部といった名称を持つ学部に設置されています。

造形学科で探求される「造形」とは、単に形を作る技術を指すだけでなく、素材や空間、時間といった要素を用いて、視覚的、触覚的な表現を生み出す幅広い営みを包含します。これには、芸術的な探求はもちろん、デザインやメディアを通じた表現も含まれることがあります。

学びの内容

造形学科における学習内容は多岐にわたります。カリキュラムの中心は、実技制作です。学生は、絵画、彫刻、版画、工芸（陶芸、染織、金工など）、写真、映像、インスタレーション、メディアアートといった、様々な分野における専門的な技術と表現方法を習得します。

しかし、単なる技術の習得に留まらず、造形活動の背景にある理論や歴史、文化的な文脈への理解も深めます。美術史、芸術理論、美学、色彩学、素材学などの講義を通じて、自身の表現をより深く追求するための知識基盤を築きます。また、批評やディスカッションを通じて、自身の作品や他者の作品について言語化し、客観的に捉える力を養うことも重視されます。

教育の目的は、学生一人ひとりが持つ創造性を最大限に引き出し、独自の視点と表現スタイルを確立することにあります。同時に、現代社会における芸術やデザインの役割を理解し、表現を通じて社会と関わる力を育むことも目指されます。

主な設置大学

日本国内には、造形学科を持つ大学が複数存在します。具体的な例としては、名古屋造形大学（造形学部）、京都嵯峨芸術大学（芸術学部）、京都精華大学（芸術学部）、常葉学園大学（造形学部）、多摩美術大学（造形表現学部 夜間）などが挙げられます。これらの大学では、学科内にさらに細分化されたコースや専攻が設けられている場合が多いです。

関連学科

「造形学科」という名称ではないものの、教育内容において造形教育を重要な柱としている学科も多数存在します。これらはしばしば「造形デザイン学科」や「造形表現学科」といった名称を持ちます。

例えば、桜美林大学の総合文化学群には「造形デザインコース」が、岡山県立大学のデザイン学部や安田女子大学の家政学部には「造形デザイン学科」があります。また、明星大学の造形芸術学部には「造形芸術学科」、成安造形大学の造形学部には「造形美術科」が設置されています。東京家政大学の家政学部や神戸芸術工科大学の先端芸術学部には「造形表現学科」があり、神戸芸術工科大学の場合は現代クラフト専攻や造形美術専攻といった専門に分かれています。愛知産業大学の造形学部に設置されている「デザイン学科」も、造形におけるデザインという側面を強く持つ関連性の高い学科と言えるでしょう。

これらの関連学科は、それぞれの大学や学部の特性に応じて、純粋美術寄り、デザイン寄り、あるいは特定の素材やメディアに特化するなど、教育内容に特色を持っていますが、根幹には「形を創造し、表現する」という造形の理念があります。

卒業後の進路

造形学科で学んだ専門知識や技術、そして培われた創造力と問題解決能力は、多様な分野で活かされます。卒業生は、画家、彫刻家、版画家、工芸家、メディアアーティストといった美術作家として活動する道を選択するほか、グラフィックデザイナー、プロダクトデザイナー、空間デザイナー、ファッションデザイナーなどのデザイナー、あるいは美術教員、学芸員、美術館・ギャラリースタッフ、企業の企画開発部門など、クリエイティブな発想が求められる様々な職域で活躍しています。

関連項目

造形
造形大学
造形学部
デザイン
* デザイン学科

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