連房式登窯

連房式登窯の概要

連房式登窯（れんぼうしきのぼりがま）は、焼成室が斜面に複数連なった構造を持つ窯の総称であり、一般には「登り窯」として知られています。この窯のスタイルは、16世紀末に朝鮮半島から呼び寄せられた陶工たちによって日本に持ち込まれ、北九州の佐賀県波多村岸岳地区で最初の型が誕生しました。そこで焼かれたのが最古級の唐津焼とされています。

割竹形連房式登窯

割竹形連房式登窯は、焼成室の内部が直線的に分けられた設計で、一基の窯内に複数の焼成室が配置されています。その特徴として、焼成室間の段差が少なく、通焔孔は粘土や四角柱状の石を用いて構成されていました。この種類の窯は岸岳地区を中心に造られ、現在の伊万里市周辺にも点在しています。一般に、この窯は全長10 - 20メートル程度で、焼成室は約10室と小規模でした。これに対し、美濃の元屋敷窯では発掘調査によって全長24.7メートル、焼成室数14室以上という大規模な構造が確認されています。

また、割竹形連房式登窯の通焔孔は、焼成ガスを横や斜めに通す設計であり、後方には明確な掘り込みがあります。これにより焼成室間の段差は少なくなっています。17世紀初頭には、美濃の加藤四郎右衛門景延がこの技術を学び、元屋敷窯として知られる美濃の窯に持ち込みました。これが美濃における連房式登窯の陶磁器生産の始まりとされています。

磁器生産の始まり

文禄・慶長の役の際に、鍋島氏によって朝鮮から日本に移された陶工たちが、朝鮮王朝時代の磁器製造技術をもたらしました。文禄3年（1594年）に波多氏が改易された際、岸岳地区の窯も衰退し始めます。日本初の磁器生産は、肥前有田の伊万里焼で行われたとされ、1610年代に金ヶ江三兵衛の家系がこの技術に関わってきました。彼の先祖は鍋島氏によって朝鮮から連行された陶工であり、彼が泉山陶石場を発見し、有田で国内初の磁器焼成に成功したと伝えられています。

有田では、金ヶ江より早く家永壱岐守が磁器の焼成を始めたという異なる説も存在します。九州陶磁文化館の調査によれば、有田での最古の磁器窯は天神森窯や小溝窯などであり、1624年の記録もあり、11世紀中には有田における磁器生産の実証が行われていました。

階段状連房式登窯への移行

割竹形登窯は、1630年代以降、かまぼこ状または楕円形の焼成室を持つ階段状連房式登窯に置き換えられていきます。この新しいスタイルでは、全長30メートル前後、焼成室は10室以上を持ち、18世紀には全長100メートルを超える作品も見られました。これは特に波佐見での発展を示しています。

瀬戸・美濃では、17世紀後半から、縦に焼成ガスを通す倒炎式の窯や、横サマに追従する設計が導入され、更なる技術革新が進みました。これにより、17世紀中葉には上段の焼成室の横幅が拡大し始め、焼成室数も増加していきます。

連房式登窯が発展する中で、肥前と瀬戸・美濃の技術やデザインが互いに影響を及ぼし、それぞれ独自のスタイルと機能が進化していきます。技術の進展により、17世紀以降の窯は大規模化、複雑化し続けました。

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