連携中枢都市圏構想

連携中枢都市圏構想とは

連携中枢都市圏構想は、日本における市町村が広域で連携し、地域全体の活性化を目指す取り組みです。この構想は、一定の要件を満たす都市が「連携中枢都市」となり、周辺の市町村と連携協約を結ぶことで「連携中枢都市圏」を形成し、圏域全体の発展を目指すものです。

構想の背景と目的

この構想は、2014年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、地域の広域連携に関する複数の圏域概念が「連携中枢都市圏」に統一されたことに端を発します。それまで存在した「地方中枢拠点都市圏構想」から名称と目的が変更され、より広範囲な連携を促進する形となりました。

目的は、地域において一定の規模と中核性を備える中心都市が、近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化を進めることで、以下の3つの目標を達成することです。

1. 経済成長の牽引
2. 高次都市機能の集積・強化
3. 生活関連機能サービスの向上

これらの目標を通じて、人口減少・少子高齢化が進む社会においても、一定の圏域人口を維持し、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成することを目指しています。

連携中枢都市の要件と形成手続き

連携中枢都市となるためには、以下の要件を満たす必要があります。

政令指定都市または中核市であること（人口20万人以上）
昼夜間人口比率がおおむね100以上であること
三大都市圏外に所在するか、三大都市圏内にあっても一定の条件を満たすこと

連携中枢都市圏を形成する手続きは、総務省が定める「連携中枢都市圏構想推進要綱」に基づいて進められます。具体的には、以下のステップが含まれます。

1. 連携中枢都市宣言：中心都市が、圏域全体の将来像を描き、経済を牽引し、住民の暮らしを支える意思を表明します。
2. 連携協約の締結：中心都市と近隣の市町村が、圏域全体の方向性、連携分野、役割分担に関する事項について協約を結びます。
3. 連携中枢都市圏ビジョン策定：中心都市と連携市町村が協議し、圏域の名称、将来像、具体的な取り組み、期間、成果指標などを定めたビジョンを策定します。

財政措置

連携中枢都市には、「経済成長の牽引」と「高次都市機能の集積・強化」の取り組みに対して、圏域人口に応じて普通交付税が措置されます。また、特別交付税として「生活関連機能サービスの向上」の取り組みに、1市あたり年間1.2億円程度を目安として、人口・面積を勘案して上限額が設定されます。一方、連携市町村には、1市町村あたり1500万円を上限として、特別交付税が措置されます。

評価と課題

連携中枢都市圏構想は、地域活性化のための重要な取り組みとして評価される一方で、いくつかの課題も指摘されています。

周辺地域の切り捨てや住民サービスの後退を招く可能性
* 圏域内の自治体を合併に誘引する「ステルス合併」との批判

これらの課題を克服し、構想の目的を達成するためには、地域の実情に応じた柔軟な対応と、住民の意見を反映した民主的なプロセスが不可欠です。

まとめ

連携中枢都市圏構想は、人口減少・少子高齢化が進む日本において、地域経済の活性化と住民サービスの向上を目指すための重要な政策です。この構想を通じて、各地域がそれぞれの特性を生かし、持続可能な発展を遂げることが期待されます。今後の展開に注目です。

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