連記投票

連記投票の概要

連記投票、または連記制、連記式、連記票は、単一の選挙区で複数の候補者を支持できる投票方法です。この方法では、有権者は複数の候補に対して投票を行うことができ、一般的には同じ政党に属する候補者が多く選ばれる傾向があります。連記投票にはいくつかの異なる形式があり、それぞれに特徴があります。

完全連記投票

完全連記投票（plurality-at-large voting）では、投票者は選挙区で競争する候補者のうち、ポジション数nまで選ぶことができます。投票者は各候補に対してn票を持つと考えられますが、同じ候補に複数投票することは許可されていません。この方法では、最も得票の多いn人が当選します。そのため、各政党は自党の支持者に対し、自党の候補に全力を尽くすよう促します。このため、党利党略が働き、同じ政党の候補者が多く選ばれる結果となる場合があります。

投票戦術

完全連記投票では、投票者が各政党の候補者に多くの票を投じるため、一般的に選挙区内の定数を占める二大政党が有利になります。しかし、選出される候補者の組み合わせを考慮する有権者も存在します。ある有権者は特定の政党が定数を独占することが良くないと考え、一位の政党の候補者に対抗して二位の政党の候補者に投票するといった戦略を取ることがあります。

優先順位付連記投票

優先順位付連記投票（preferential bloc voting）は、比例代表化を目指す投票方式ですが、完全連記制と類似する結果をもたらします。この方法では、有権者は自分の好みの候補に順位を付けることが求められます。まず、一番の選択肢としてn票を投じ、次に二番目の選択肢を順位付けします。この制度では、得票数が過半数に達するまで候補者が次々と排除され、その票が移譲されていきます。これにより、すべての票が最大限に活かされることが目的です。

制限連記投票

制限連記投票（partial bloc votingまたはlimited voting）は、有権者が選出される候補者の数よりも少ない票を持つ投票方式です。この方式の利点は、少数派が代表を獲得しやすく、大多数の政党がすべての議席を占めるのを防ぐことができる点です。例えば、ジブラルタル議会の選挙では、投票者には8票が与えられ、15議席が選出されるため、人気のある政党が議席を獲得しつつも、他の政党にも機会が与えられます。

歴史的な背景

制限連記投票は過去にイギリスの選挙でも使用されており、投票者に二票が与えられました。しかし、日本での実施は1946年の第22回衆議院議員選挙が最後であり、対立候補との健全な競争を促す仕組みとして評価されていました。園田天光光氏はこの制度の良さを強調し、候補者間の相互扶助の重要性を訴えています。

まとめ

連記投票には多様な形式があり、選挙の透明性や公平性を確保するためのさまざまな方法が提案されています。それぞれの方式がもたらす影響を理解し、投票戦略を考えることが、選挙制度の理解を深める鍵となります。

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